絶対に読むべきオタク評論本 2冊目(『新・オタク経済』)
私、御星美香はオタクについて研究するのが趣味な変人である。
他のレ班員の多くの人がいろいろな作品の評価を書いてくれると思うので、今回は少し趣向を変えて、オタクそのものについて書かれた本の中で、読みやすくかつ興味深い本を3冊ピックアップして皆さんに紹介したいと思う。今回は2冊目。
② 原田曜平『新・オタク経済』
現代において自分をオタクであると名乗る人々が増えたが、彼らは昔からマスメディアが報道してきたような「根暗で太っていてファッションに興味が無い」人達では無い。むしろそのような人こそ絶滅しており、おしゃれな男女がオタクを名乗るのが現代であると言うことを前提として、では彼らはどのような特徴を持つのか、どのように系統分類出来るのかについて書かれているのが本書である。また、多くのオタク評論でオタクは“第3世代”まで存在するとされてきたが、時代の変化によって生まれた“第4世代”を最新のオタクとしているのも本書の特徴である。オタク世代間論争を先に進めた意味でも価値がある。
現代のオタク4分類のわかりやすさが何より良い。“リア充オタク(ガチ)”や“イタオタ”など系統の種類の名前も分かりやすいのも魅力の1つ。また、様々なオタク評論で語られてきたような基礎的な知識を大体復習できるので、普段オタク評論を読まない人が最初に読む本としてもとっても優秀な本である。
著者はオタクではなくあくまでマーケティングの対象としてオタクを研究したにすぎないため、現代のオタクを否定することも無ければ肯定することもない。ただただ分類を行うだけの本であるため、一部のオタク評論にあるように読者をイライラさせるような事が絶対無いのも良い点であろう。(御星美香)