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暗号化された日記帳を解読し、著者の過去に迫る 「The Wake : Mourning Father, Mourning Mother」レビュー

はじめに

 お久しぶりです。筑波大学現代視覚文化研究会レビュー班のRitoと申します。
 以前このような音声作品のレビューを書いた者です。

 今回は、インディーズゲーム「The Wake : Mourning Father, Mourning Mother」を紹介したいと思います。

ゲーム内容

 このゲームは、「Replica」や「Legal Dungeon」を制作したSomi氏による最新作。 プレイヤーは、パタパタ時計のような日記帳の、ところどころ暗号化されているページを読めるように復号しながら読み進め、日記帳の内容に近づいていく。

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日記帳の1ページ。左のダイヤルがページ送りになっており、パタパタと切り替わる。

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暗号化されたページ。このままでは内容を読み取ることはできないだろう。

 暗号を解読する、と聞くと非常に難しいゲームに思えるかもしれないが、実際のところはそこまで難しくない。章ごとにメモが印刷されヒントをくれるほか、暗号を解きやすくする道具もいくつか存在する。さらに言えば、アルファベット26文字全ての変換を当てる必要も無い。5文字分変換をすればあとは自動で日記帳が変換してくれる。
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エニグマ暗号機のプラグボードのような部分を開き、変換元と変換先をプラグでつなぐことで変換を示す。

 変換に成功すると日記が読めるようになり、物語が進んでいく。そこまで難易度の高くない暗号ではあるものの、意味不明だった文字の羅列がきれいな文章になるのはとても気持ちが良い。

 日記帳には、著者の祖父の葬儀が行われた数日間が描かれている。そこには著者と父母や親族との関係が、いくつかのエピソードを交えて綴られており、読み進めていくうちに著者や父母の過去が明らかになっていく。少しづつ著者や周辺人物の複雑な感情が伝わってくる感覚は、ゲームシステムも相まって非常にノベルゲーム的といえるだろう。

まとめ

 最後に述べた通り、ノベルゲームやADVが好きな方には非常におすすめできる作品。プレイ後は、小説(というよりかは映画かもしれない)を一本読んだような満足感がある。 また520円と安価なので、少しでも興味があれば買ってみてほしい。ただ、歯ごたえのあるパズルを求めていると拍子抜けかもしれない。  もし先に紹介したSomi氏の2作に興味があれば、Steamでのバンドル販売もあるのでよりお得だ。

 この記事を読んで、このゲームに興味を持ってもらえれば嬉しい限り。

store.steampowered.com

(※画像は全て自前のスクリーンショットを用いています。)