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劇場版Fate/Stay night[Heaven's Feel] III.spring songで感情になった話

まえがき

 お初にお目にかかります。げんしけんレビュー班一年のmartと申します。
 本記事は、先月8月15日より上映されました『「Fate/stay night [Heaven's Feel]」Ⅲ.spring song』(以下「HF三章」)を受けて、感情が新鮮なうちに感想を書き綴っておこうと思います。
 なお、ネタバレをふんだんに含みますので、未視聴の方はご注意下さい。
 また、(グダグダになりそうなので)考察の類などはあまり含めていません。ただの個人の感想ですので、「わかる~!」といった部分があれば幸いです。

III.spring songで感情になった話

 さて、本題の感想となりますが、題名の通り視聴後は綺麗に「感情になった」……もとい感極まっていました。(感情になった、というのは「感情の奔流に吞まれている」の様な意です。流行らせて下さい。)劇中での個人的に印象深かったシーンを、順に振り返っていきます。

「舞台に上がった」言峰綺礼

 初っ端ではありますが、まずは言峰綺礼について。
 HF一章二章、またTVアニメFate/stay night [Unlimited Blade Works]では(ストーリー上とはいえ)あまり動きのなかった言峰綺礼。そんな彼が『私も舞台に上がるとしよう』と告げてから三章は始まります。その言葉の通り、視聴中の私にしっかりと爪痕を残し、「美味しいところを持って行かれた」感じがありました。

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https://www.youtube.com/watch?v=_OdZfKbnQj4&t=41s より車を出すシーン
 イリヤ奪還のドライブシーンへ。
 ところで、唐突かつHFの感想記事に乗せるのも場違いではありますが、私は「Fate/Zero」、そしてその衛宮切嗣言峰綺礼の描写、互いの関係性を好んでいます。
 その様な経緯もあり、ほんの数分の車中会話も、言峰綺礼の言葉一つ一つに重みを感じていました。
 『衛宮切嗣の生き方は私には不快だった。奴は初めからあったものを切り捨て、私には切り捨てられるものが無かった。結果は同じながら、その過程はあまりにも違った』
 言峰綺礼の口から「衛宮切嗣」という言葉が出てくるだけでも少々心が躍ってしまいますが、(変態か?)その上自ら語り始めるところにすっかり感情になってしまいました。
 その後中盤にて……、
『衛宮。助けた者が女ならば殺すな。目の前で死なれるのは、中々に堪えるぞ』
回想にてついにクラウディア(cv:茅野愛衣さん)が……! 言峰綺礼にとっての転換点。しっかりと映像にして下さいました。
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http://ufotable.com/cafe/hf3_cafe/menu_1st_b.html より 詠唱シーン
 そして私的第一の「感情」ポイント、洗礼詠唱のシーン。「言峰綺礼の洗礼詠唱」というだけでも深いものがありますが、加えて映像の美しさも重なり、一度見た後、心を掴んで離さないシーンでありました。
 原作では外壁に臓硯の頭を擦り潰しつつ唱えていましたが……、なるほど屋根、十字架。特筆すべきは、やはりその荘厳さ。浄化されました。当分はこのシーンに心を囚われ続けそうです。

圧巻の戦闘シーン

 HF一章のランサー、二章のセイバーオルタを経て、もはや信頼しかないといった「ufotable」の戦闘シーン。三章においても作画を開放してきました。ですが今回は、上記の洗礼詠唱のシーンも含め、よりいっそう背景や効果に凝っている様な印象を受けました。セイバーオルタ戦でのライダーの魔眼の駆け引きなども圧巻でした。

衛宮士郎

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https://www.youtube.com/watch?v=ghwoaF-VYS0 より 大空洞にて
 「言峰綺礼」、セイバーオルタ戦を経て、しかしやはり主人公というべきか、最後に楔を打ち込んだのは「衛宮士郎」でした。アーチャーを追い抜き、桜を助け、身体を崩壊させながら、言峰綺礼と殴り合い……、そして最後の最後に自ら出た、『生きたい』という言葉。生きたいと思ってしまいながらもイリヤと呼び続けるその必死な表情。弟を守るイリヤ「おねえちゃん」。映像化の真骨頂が発揮されていました。

まとめ

 HF三部作、2017年に第一章が上映されてから約三年にして、ついに完結となりました。三部にかけて綺麗に「序破急」の形をとっている印象を受けるためか、「急」にあたる今作は、場面場面が急激に移り変わり、その全てが重要で、とても濃密な内容でした。そのため凛や桜、ライダーやセイバー、アーチャーにイリヤなどなど、挙げられる話題は枚挙に暇がありません。
 ともあれ今回はここで締めさせて頂きます。(〆切が……) 今後少々更新などを行う予定です。
 最後に、申し訳程度にレビューらしく点数を付けさせて頂くと、やはり十点満点中十点です。想像の遥か先の完成度でした。

あとがき

 HF三章の上映時期について、春から延期された後、八月に再度決定されましたが、個人的にはまた延期となるのではないかとヒヤヒヤしていました。まぁ、それは杞憂でしたが(笑)。訪れた映画館では、例の感染症対策として一個飛ばしでの座席配置となっていました。正直なところ、両脇が空いているのはかなり快適でしたので、通常でもこの様な配置が良いなと思いました。利益などを度外視した意見ですが。