筑波大学現代視覚文化研究会レビュー班 公式ブログ

筑波大学現代視覚文化研究会レビュー班の公式ブログです。

この体験はリズムゲームか、それともアクションゲームか(『Thumper』)

 一部界隈で話題になったため、ご存知の方もいるかもしれない。

 『Thumper』はPCだけでなくNintendo SwitchPS4でも購入可能な「リズム・バイオレンスゲーム」だ。重苦しい音楽の中、メタリックな昆虫型(とはいえ虫嫌いの人でも大丈夫そうな外見)の自機が画面奥へと伸びるレールを高速で進んでゆく。そしてレール上に出現するカーブや棘等の仕掛けを、音楽に合わせたシンプルな操作で潜り抜ける。そんなゲームである。

 まず本作の特徴として挙げられるのは、魅力的な雰囲気であろう。Steamのストアページにある「悪夢のような虚空」という表現がぴったりの音楽とビジュアル、カッコいいエフェクト、そしてそこから生まれる疾走感と没入感。一度入り込んでしまえば、気付いたときには何時間も過ぎているほどである。後半のステージでは効果音のせいでメインの音楽を聞き取りにくくなることもあるが、慣れてしまえばあまり気にならないだろう。

 次に挙げられるのは、システムである。最初に自機は装甲で覆われていて、一度までは被ダメージを許されるが、装甲が無い状態でダメージを受けるとゲームオーバーとなる。しかしステージは複数の短いWAVEに分かれており、ゲームオーバーになってもそのWAVEの最初からやり直すことが可能だ。その上リトライ自体は自動で行われるため、ストレス無く楽しめるのである。このようなシステムはアクションゲームにはしばしば採用されているが、リズムゲームでは珍しい。他にもステージが進行するほどに増えるアクション、立ちはだかる巨大なボスなど、アクションゲームらしい要素を多く含んでいるのだ。「アクションゲームは得意だがリズムゲームは苦手」という人、あるいはその逆の人でもきっと楽しめるだろう。

 さて、正直なところ本作はやってみないと面白さが分かりにくいタイプのゲームであると思う。それでも一文で表現するなら、「リズムゲームでありながらアクションゲームのようでもある、シンプルながら骨太な作品」だ。なかなかに人を選ぶ反面、普段ゲームをやらない人でも楽しめるかもしれない。これを見て少しでも気になった人は、『Thumper』で検索して紹介映像を見てみて欲しい。「悪夢のような虚空」が待っている。

 

 ちなみに私はSteamで購入しました。低スペックPCでも問題なく動いてくれるのでとてもありがたいです。(VitaminC)