筑波大学現代視覚文化研究会レビュー班 公式ブログ

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花譜MV『過去を喰らう』ロケ地巡礼レポ 【後編】 #花譜

まえがき(に見せかけた宣伝)

皆さん、お久しぶりです。最近デカいモニタを買ってテンションが上がっているげんしけんレビュー班の紅葉(もみじ)です。
この記事は、2020年5月に投稿した「花譜MV『過去を喰らう』ロケ地巡礼レポ 【前編】 #花譜」の続きとなっております。
まだ前編をお読みでない方には、先にそちらから読んで頂くことをおすすめします。

ではまず、ざっくり前編のおさらいをしてみます。
この記事はVSingerの花譜ちゃんのオリジナル曲『過去を喰らう』MVのロケ地を巡礼する企画で、前編では動画内の「⑧2:16『好きな歌も忘れ去った』」までのロケ地を紹介しました。
この曲のロケ地はすべて新宿駅の周辺に位置していたため、新宿駅周辺に確認したロケ地をマッピングした地図も作成しました。ここでの⑧などの番号は下記の地図のリストに対応しています。

ロケ地の紹介

この記事では地図上の⑨からの地点を紹介していきます。
前回に引き続き、巡礼には自分に加えて友人のシナダくんとKくんが同行してくれました。

⑨2:21「それなのに人が恋しくって」

9つめの撮影地点は、2:21「それなのに人が恋しくって」の部分。地図では「⑨新宿三丁目駅 地下一階コインロッカー前」。

撮影場所:東京メトロ副都心線 新宿三丁目駅 地下一階コインロッカー前

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⑨2:21「それなのに人が恋しくって」
またこの地点については、参考カットとして、連続した壁が写っている2:19あたりの下記の2枚のカットも参考にしました。

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⑨の参考カット 2:19周辺

いきなりですが、ここが本企画の最難関地点と言っても過言ではありませんでした。それくらい特定が難しかったです。以下、その経緯。

ヒントとしてはコインロッカーとその背後の壁しかなく、そして新宿駅周辺のコインロッカーは星の数くらいあるでしょうから、どうしたって特定は不可能なように思えました。正直ここは無理だろ……と思いました。
が、ここで同行してくれた友達で鉄道全般に詳しいKくんが、このカットと参考カットの壁を見てひとこと。

「この壁は東京メトロっぽいな……」

何が「東京メトロっぽい」のかは素人にはさっぱりわからないですが、ともかくメトロの駅を調べる方針になりました。自分・シナダくん・Kくんのうち、Kくんがコインロッカー担当として別行動をし、後の2人は他の地点を回収することに。
そして待つこと約30分、Kくんから電話が……。

「見つけたよ。新宿三丁目駅地下に来て」

新宿三丁目駅に行くと、果たして見事にロケ地点が見つかったのでした。

なお、画像から明らかな通り、撮影時からコインロッカーのデザインが変わっており、またコインロッカーの左側にシェアオフィスのボックスが新設されているため、全く同じカットを撮影することはできませんでした。したがって(個人的には間違いないと思いますが)撮影地がここであるとは確定できないため、この地点については間違っている可能性もあります。

ちなみにここへの行き方ですが、

  1. 新宿駅南口から甲州街道を東に進む
  2. 新宿四丁目交差点を左折
  3. 新宿三丁目駅のE5入り口から地下に入る
  4. 地下道に入ってすぐ右に曲がり、しばらく直進

というのが今回私たちがとったルートになります。

ともかく、壁の雰囲気から(!)撮影地点を見つけてくれたKくんには頭が上がりません*1

⑩2:25「あなたへの気持ちだけ」

10個めの撮影地点は、2:25「それなのに人が恋しくって」の部分。地図では「⑩都立新宿高等学校前交差点その1」。

撮影場所:新宿御苑付近 都立新宿高校前交差点付近

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⑩2:25「あなたへの気持ちだけ」
※右側の撮影した画像には同じポーズのオタク(ぼく)が写っていたんですが誰もオタクなんか見たくないと思うので削除しました。

これはあまり手がかりのないカットですが、次の⑪間奏部その3の撮影をしたときに周囲を調べて発見した地点です。偶然見つけられたといっていい場所でした。画像右側の花譜ちゃんがもたれている柱ですが、周辺に似たような柱が多くどの柱なのかわかりにくかった記憶。

⑪2:30 間奏部その3

11個めの撮影地点は、2:30の間奏部。地図では「⑪都立新宿高校前交差点その2」。

撮影場所:新宿御苑付近 都立新宿高校前交差点付近

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⑪2:30 間奏部その3

これまた手がかりの少ないカットですが、右側に木が生い茂っているのを見て、なんとなく新宿御苑の近くかなーと当たりをつけて行ってみたら見つけられた、という感じです。左側の工事現場のフェンスの形が若干変わっていますが、結構な一致率です。

余談ですがこのカットは撮影視点がかなり低く、ほとんど地面に這いつくばるようにして撮る感じになりました。当時は人通りもそれなりに多く、そこそこ奇異な目で見られたかと思います。怪しいオタク3人が集団で地面に伏せていたのを通報されなくてよかったです。

⑫2:36 間奏部その4

12個めの撮影地点は、2:36の間奏部。地図では「⑫新宿区内藤町自転車保管場所前」。

撮影場所:新宿御苑付近 新宿区内藤町自転車保管場所入口前

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⑫2:36 間奏部その4

こちらは駅前などから回収された放置自転車を保管する場所のようですね。この場所も手がかりがほぼなく、⑪を撮っていたときに偶然発見したものです。

⑬2:42「夢のような話を紡げたら」

13個めの撮影地点は、2:42「夢のような話を紡げたら」の部分。地図では「⑬JR東京総合病院前踏切」。

撮影場所:JR東京総合病院付近 小田急小田原線踏切前

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⑬2:42「夢のような話を紡げたら」

撮影時が夜だったのでやや暗くてわかりにくいですが、奥の踏切に小田急小田原線が通過しているのがわかります。
こちらの地点の発見にもKくんにお世話になりました。後ろの車両が小田急線であるとすぐに判別してくれたので、あとは新宿周辺の踏切から絞り込むだけで済みました。

⑭2:45「あなたと僕は笑えるだろうか」

14個めの撮影地点は、2:45「あなたと僕は笑えるだろうか」の部分。地図では「⑭新宿駅南口 バスタ新宿前」。

撮影場所:新宿駅南口 バスタ新宿

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⑭2:45「あなたと僕は笑えるだろうか」

これはわかりやすい地点ですね。余談ですが、私は高校時代通学で小田急線を使っていたこともあって、この新宿駅南口の風景は馴染み深いものでした。最初にこの曲のMVを見たとき、もちろん撮影地点なんてわからなかったのですが、この場所だけはピンときて「あ、南口だ!」と叫んだ思い出があります。

⑮3:02「こんな大人で我慢できたら苦しみなんて知らなかった」

15個めの撮影地点は、3:02「こんな大人で我慢できたら苦しみなんて知らなかった」最後のサビの部分ですね。地図では「⑮新宿駅西口 新都心歩道橋上」。

撮影場所:新宿駅西口 新都心歩道橋下交差点付近 歩道橋上

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⑮3:02「こんな大人で我慢できたら苦しみなんて知らなかった」

ここもなかなか手こずった地点だったと思います。まず、明らかに歩道橋の上であることは確実だったので、Googleマップ上で3方向に分岐している歩道橋を探しました。その上で発見した歩道橋に行ってみて、花譜ちゃんの背後にある複雑な形のネオン広告を確認して向きを特定しました。このネオン広告は某カラオケ店のものですね。

⑯3:18「強くなることが怖かった」

いよいよ最後の撮影地点になります。3:18「強くなることが怖かった」の部分。地図では「⑯JR代々木駅西口 埼京線踏切」。

撮影場所:JR代々木駅 埼京線湘南新宿ライン踏切前

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⑯3:18「強くなることが怖かった」

これは簡単な地点でした。といっても、Kくんの力を借りてということですが……
小田急線のときと同じく、電車が湘南新宿ラインであることから踏切を絞り込めました。この地点だけ新宿駅からはやや南側に離れています。
踏切の向きについては、背後の酒屋の看板から判明しました。

巡礼の感想

前編・後編を通して、明確に位置が判明した16の撮影地点を紹介してきました。
実際にこれらの撮影地点を巡ってみた感想として、まず、各撮影地点は新宿駅周辺という近いエリアに分布しながらも、どれひとつとして同じ表情をした風景はないと実感しました。東京・新宿という大都会の様々な表情がMVを通して細やかに切り取られているのがわかります。

また、各カットを眺めているうちに、花譜ちゃんの各シーンのバラエティ豊かな表情の魅力にも気付かされました。この曲に限らず、花譜ちゃんのオリジナル曲MVには都市部で撮影されたものが多くあります。花譜ちゃんのイメージも考慮して、どちらかといえば現代のアーバンな雰囲気によく合うように作られているのだと推測されますが、花譜ちゃんのいつでもまっすぐな視線、そしてどことなく切ない表情はそれにぴったりと合っているなぁ、と改めて感じることができました。

さて、実は今夏に別のオリジナル曲『私論理』MVの撮影地点*2の巡礼をする予定を立てていたのですが……コロナ禍でそれも難しくなってしまいましたね……

この情勢が落ち着いたら改めて巡礼ができれば良いなと思っています。また最近の新曲『景色』の撮影地域はどうやら鎌倉周辺のようなので、こちらもぜひ巡ってみたいところです。

www.youtube.com

更新履歴

2020/08/nm:初稿公開

*1:後日同行してくれた2人にはお礼としてAmazonギフトを送っておきました

*2:こちらは渋谷駅周辺

ジャンルレス化する漫画雑誌

はじめに

 はじめまして。筑波大学現代視覚文化研究会レビュー班(レ班)のカサギと申します。大学に入学し、数あるサークルの中からげんしけんを選び、そしてレ班に所属してから早二か月、私にもお鉢が回ってきたので今回ブログを執筆させていただこうと思います。

 唐突ですが、皆さんは普段漫画を読みますか? 読むのでしたら、どんな漫画が好きですか? 少年漫画、少女漫画、「きらら系」と呼ばれるような日常もの、などなど人それぞれ好みはあるでしょう。 漫画には読者層に応じて様々なジャンルが存在しますが、最近ではそのジャンルは多様化し、「少年」や「少女」、「青年」のように性別や読者の年齢層では区別できなくなっているものも多いです。今回はこのようにジャンルレス化している漫画雑誌について話そうと思います。

雑誌の紹介

月刊少年ガンガン

 「少年」や「少女」の区別が希薄な漫画雑誌としてまず初めにお話したいのは月刊少年ガンガンスクウェア・エニックスより刊行されている「月刊少年ガンガン」およびガンガン系列の雑誌での連載作品のことを「ガンガン系」ということもあります。月刊少年ガンガンは、雑誌名に「少年」の名を冠しつつも、創刊から4年経った1995年頃から徐々に連載作品に少年漫画・少女漫画の枠が無くなっていき、それぞれの漫画が同じ誌面に載る独特な雑誌になっていきました。
 現在もそれは色濃く続いていて、「戦×恋」や「不徳のギルド」といった性的な描写の多いものから、「ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。」や(随分と休載していましたが)「紅心王子」といった女性向けの恋愛ファンタジーストーリーといった多彩なジャンルの作品が現在も同じガンガンの誌面を賑わせています。

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左は「戦×恋」が表紙の月刊少年ガンガン*1また、右は「ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。」が表紙の月刊少年ガンガン*2

  余談ですが、私はもう永遠に連載再開しないのではないかと思っていた「紅心王子」の最新第17&18巻が今年9月(6年ぶり‼)に発売されるようなので、当時から追っていた方は是非チェックしてはいかがでしょうか。
 また、2009年に創刊されたガンガン系列の雑誌「ガンガンJOKER」の公式サイトに書かれている雑誌の紹介文は、『キュンとする青春ものから、男心くすぐるダークファンタジー、あるいは疲れたOLにおすすめのコメディー4コマまで、ジャンルレスで楽しめる「ガンガンJOKER」!』であり、ガンガン系の特徴であるジャンルレスである点をより前面に押し出したものとなっています。

月刊コミックジーン

 次に、ジャンルレス化する漫画雑誌の例として挙げたい雑誌はメディアファクトリーが刊行する「月刊コミックジーン」です。2011年に創刊されたこの雑誌のコンセプトは「女性の為の少年漫画雑誌」でした。
 「ニーチェ先生」や「SERVAMP-サーヴァンプ-」といった作品を世に輩出したこの雑誌は、pixivと早い時期から連携し、「ジーピクシブ」というpixivコミック内雑誌を他の雑誌に先駆けて創刊したことも含め、当時の漫画雑誌の中でも先進的なものであったと思います。

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月刊コミックジーン*3

 2020年になって、白泉社が刊行する少女漫画雑誌である「花とゆめ」が、「かっこいい男性キャラを追求してきた花ゆめが、少年漫画好きの女性も増えてきている今日、少年漫画を作らない理由がない!」という理念のもと電子少年漫画雑誌の刊行を決定しました。この流れを考えると、女性の為の少年漫画雑誌を2011年に創刊するということは時代を先読みした新たな試みだったと思います。

ヒバナ

 2015年3月には、「ぼくらの」、「ドロヘドロ」などの人気作品を輩出しながらも2014年に休刊となった小学館の青年誌「月刊IKKI」の後継誌として「ヒバナ」という雑誌が創刊されました。漫画マニアをも唸らせる個性的な漫画を多く掲載し、「小学館のガロ *4」とも呼ばれていたIKKIの後継誌であるヒバナも漫画雑誌のジャンルレス化を感じさせる独特な誌面であったと思います。

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左はIKKI最終号の表紙。*5右はヒバナ創刊号の表紙である。*6

 キラキラのクラブから始まる大人のガールズラブストーリー「アフターアワーズ」や男子高校生の交流を描いた「あちらこちらぼくら」など、読者層を限定しない幅広いジャンルの漫画がヒバナには掲載されていました。
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左は西尾雄太作「アフターアワーズ*7、右はたなと作「あちらこちらぼくら」*8
 ヒバナは特にBL界隈で活動していた作家による作品の掲載が多かったように思います。猫と男性の登場する読切を様々な作家に描いてもらうゲスト読み切りシリーズ「猫と男」では、はらだ、絵津鼓、波真田かもめといった有名なBL作家が参加し、このシリーズに作家したほとんどの作家が一般誌初登場であったことも考えると、ヒバナは青年誌における新たな枠組を構築していたように思います。また、その他の連載作家の中にも渦井、たなと、秀吉子といったBL作品を多く執筆している作家が多かったことから、新たに青年誌に女性読者を呼び込もうとしていたことも考えられます。
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秀吉子作「ロメオがライバル」が表紙のヒバナ*9。BL作品を多く手掛けてきた秀吉子にとってこの作品が一般誌ストーリー初連載であった。

 しかし、それだけではなく、東村アキコによる本格歴史漫画「雪花の虎」や、移籍先の裏サンデーにて現在人気を誇る「翼くんはあかぬけたいのに」といった非常に多くのジャンルに渡る面白い作品がヒバナには多く掲載されており、本当に私は当時漫画雑誌がジャンルレスになっていることを実感していました。
 当時というのは、こちらのヒバナ、2017年に出版不況のあおりを受けてあえなく休刊となってしまっています。「アフターアワーズ」は小学館の漫画アプリ「MangaONE」に移籍、「あちらこちらぼくら」は集英社のBLレーベル「.Bloom」に移籍し、そこから新装版の刊行及び続編の連載が始まりました。

 ちなみに「ドロヘドロ」はスピリッツ増刊IKKIIKKIヒバナゲッサンと3回もの掲載誌移籍を経験した作品です。最終的にめでたくアニメ化も果たし、単行本は全23巻が発売中です。

少年マガジンエッジ

 この「ヒバナ」と似たような方向性の雑誌として、2015年9月に創刊された講談社の「少年マガジンエッジ」が挙げられます。
 こちらの雑誌は、2014年の「月刊少年ライバル」の休刊に伴って創刊された雑誌ですが、王道の少年漫画雑誌であった月刊少年ライバルに対して、「エッジ」という名が表すように、従来の少年漫画という枠組から捉えると、他の雑誌とは一線を画したものになっていました。

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少年マガジンエッジ*10

 キャッチコピーも『マガジンブランドのいちばん「外側」を行く、「好き」を極めるネオ・ビジュアル少年誌』となっており、創刊当時のラインナップを見てみると、少年漫画を描いていた作家の中にも、雨森ジジ、はる桜菜などのBL作家として活動していた漫画家の少年誌初連載、また「ラブプラス」シリーズのキャラクターデザインを手掛けた箕星太朗、「メタルギア」のキャラクターイラストを手掛けたイラストレーターであるアシュレイ・ウッドの初漫画連載など従来のマガジンブランドにはあまり見られなかった「とがった」漫画が多く掲載されると同時に、他にも「K」シリーズのスピンオフ漫画や「ヒプノシスマイク」のコミカライズなど、女性向けコンテンツの漫画も多く掲載されており、また秀吉子先生はヒバナでの連載と同時にこちらでも連載を持っていました。
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単行本が発売される際には、出版社の垣根を超えたキャンペーンが開催された。*11

 しかし、ヒバナと同様に、煩悩まみれラブコメ「みだらな青ちゃんは勉強ができない」やライトノベルキノの旅」のコミカライズ、かつて週刊少年ジャンプにて連載された「シャーマンキング」の続編なども同時に掲載され、少年漫画雑誌であるマガジンブランドの一番外側を名乗るにふさわしい独特なラインナップとなっていました。(現在は相次ぐ連載作品の終了により物理的にも中身的にも薄くなってるので心配ではありますが。)

他にも

 これらの雑誌の他にも青年誌である集英社ウルトラジャンプには不定期で百合アンソロジー「ユリトラジャンプ」が付録としてついてくることがあります。また、集英社の漫画アプリ「少年ジャンプ+」においても、女性向け漫画誌「月刊YOU」から桃栗みかんの「群青にサイレン」の移籍、またTVアニメ「刀剣乱舞-花丸-」のコミカライズなど、従来の少年漫画の枠に囚われない連載作品が今までありました。

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ユリトラジャンプ第1巻の表紙。画質が悪くてすみません……*12

おわりに

 これまで、ジャンルレス化の進む漫画雑誌をいくつか挙げてきました。少年漫画や少女漫画といった枠組はきっとこれから先も消えないと私は思います。しかし、その中身はますます多様化していくでしょう。枠組みの縁をなぞるような雑誌も増えていくように思います。
 しかし、そうすることで自分が興味を持っていなかったジャンルの作品にも一つの雑誌を買うことで出会い、もしかしたら予期せぬ名作に巡り会うかもしれません。今までつらつら書いてきましたが、皆様にお勧めしたいのは「漫画雑誌を買おう」ということです。是非漫画雑誌を買い、良かったらお目当ての作品じゃない他の漫画も少し読んでみてください。自分の知らない面白い作品があると思いますよ。

おまけ(書いてみた感想なので読まなくても良いです)

・私が基本BLしか読まない為、BL界隈のネタばっかりになってしまいました。層が偏っててすみません。一般誌に百合風味な作品、あるいは普通に百合が掲載されることも増えてるのでしょうか?私は別マガの「将来的に死んでくれ」という作品くらいしか思いつかなかったもので。また、「やがて君になる」は電撃大王に掲載されていますが、電撃大王は少年誌といっていいのかどうかわかりません……と思ったら、wikiには少年・青年向け漫画雑誌と書いてありますね。

・あと、「女性の為の少年漫画」があるなら「男性の為の少女漫画」があってもいいんじゃないかな、とも思ってます。ガンガン系の雑誌に載ってるようなラブストーリーは男性もよく読む少女漫画のようなものなのでしょうか。

・また、「ニコニコ漫画」や「pixivコミック」のようにジャンルを問わず様々な漫画を一つのアプリで気軽に読めるようになったことも、漫画自体のジャンルレスな雰囲気作りに一役買っていると思います。特に「ニコニコ漫画」で悪役令嬢もののコミカライズを読むと、男性目線のコメントが多く流れてきて、作品単体で読むのとはまた違った楽しみ方ができます。

*1:引用元https://www.amazon.co.jp/%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E7%89%88%E6%9C%88%E5%88%8A%E5%B0%91%E5%B9%B4%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%B3-2019%E5%B9%B412%E6%9C%88%E5%8F%B7-%E9%9B%91%E8%AA%8C-%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-ebook/dp/B07YV4PF7N

*2:引用元

https://www.mangazenkan.com/e-books/item/10637589.html

*3:引用元

https://comic-gene.com/blog/magazine/entry-8594.html

*4:ガロはかつて青林堂から刊行されていた漫画雑誌である。他に類を見ない独創的な漫画が多く掲載され、漫画雑誌の中でも一際異彩を放っていた。つげ義春ねこぢる丸尾末広などがガロにて連載を持っていた代表作家。

*5:引用元

https://bigcomicbros.net/7670/

*6:引用元

https://galapagosstore.com/web/magazine/backnumber/14027003201504060

*7:引用元 https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%83%95%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%BA-1-%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%B0%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E8%A5%BF%E5%B0%BE-%E9%9B%84%E5%A4%AA/dp/409187245X

*8:引用元 https://www.amazon.co.jp/%E3%81%82%E3%81%A1%E3%82%89%E3%81%93%E3%81%A1%E3%82%89%E3%81%BC%E3%81%8F%E3%82%89-%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%B0%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB-%E3%81%9F%E3%81%AA%E3%81%A8/dp/4091871909

*9:引用元 https://www.amazon.co.jp/%E3%83%92%E3%83%90%E3%83%8A-2016%E5%B9%B44-10%E5%8F%B7-%E9%9B%91%E8%AA%8C-%E3%83%92%E3%83%90%E3%83%8A%E7%B7%A8%E9%9B%86%E9%83%A8-ebook/dp/B01CE2A40W

*10:引用元 https://www.amazon.co.jp/%E5%B0%91%E5%B9%B4%E3%83%9E%E3%82%AC%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%82%A8%E3%83%83%E3%82%B8-2019%E5%B9%B43%E6%9C%88%E5%8F%B7-2019%E5%B9%B42%E6%9C%8816%E6%97%A5%E7%99%BA%E5%A3%B2-%E9%9B%91%E8%AA%8C-%E6%99%82%E9%9B%A8%E6%B2%A2%E6%81%B5%E4%B8%80-ebook/dp/B07NPLRHQJ

*11:引用元 https://natalie.mu/comic/news/213282

*12:引用元 https://www.amazon.co.jp/%E3%83%A6%E3%83%AA%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%97%EF%BD%9E%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%97%E7%99%BE%E5%90%88%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%83%BC%EF%BD%9E-%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%97%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9DIGITAL-2C%EF%BC%9D%E3%81%8C%E3%82%8D%E3%81%82-ebook/dp/B07J2CCX1X

懐かしの平成美少女ゲーム ~その1・宇宙麻雀編~

(注)本レビューでは成人向ゲームを取り扱っております。
また、書いているうちにただの麻雀レビューとなってしまったので、麻雀のルールをご存じでない方は、ルールブックや紹介サイト等を見ながら読まれることをおすすめします。

ご挨拶

 初めましての方は初めまして、そうでない方はお世話になっております。レビュー班2年の桐一葉と申します。現代視覚文化研究会の副会長、満を持しての本ブログ初寄稿というところです(オンライン講義と課題を溜めまくって全然執筆できなかっただけ)

 さて、タイトルの時点でバレバレですが、今回はとある麻雀ゲームの紹介となります。こんなご時世では雀荘には行けませんし、私のように元々雀荘なんて怖くて行けないという方も増えているようですが、最近は一銭も賭けずに楽しめるネット麻雀が普及しており、かえって気軽に麻雀を始められる環境ができつつあります。最近ではVTuberにも麻雀を打たれる方が多く、ご覧の皆様の中にも勉強し始めた、なんて方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 というわけで早速ご紹介、となるわけですが、このブログで普通の麻雀ゲームを紹介するわけがありませんよね? 今回ご紹介していくのは、麻雀は麻雀でも大人の麻雀、『いただきじゃんがりあんR』です!

いただきじゃんがりあんR』とは

 『いただきじゃんがりあんR』(以下『いたじゃんR』)は、2005年8月にすたじおみりすから発売されたPC向け18禁麻雀ゲーム、すなわち脱衣麻雀です。同レーベルの処女作である『いただきじゃんがりあん』(2000年11月)、およびその後日談『いたじゃんノベル』・『いただきじゃんがりあん ちょこっとあどべんちゃー』(『いたちょこ』)の続編ですが、なんとそれらが同梱されているため、シリーズ未プレイでも最初から楽しめます。かくいう私も前作は持っていません。

  • OS:Windows 98SE/Me/2000/XP  
  • CPU:Pentium Ⅱ 500MHz以上(Pentium Ⅲ 733MHz以上推奨)
  • メモリ:64MB以上(128MB以上推奨)
  • VIDEO:800×600以上、65536色以上表示可能なビデオカード
  • SOUND:PCMデータ再生可能
  • DirectXVer9.0c以上(製品同梱)

↑動作環境はこんな感じでいかにも古いゲームだな~という感じですね。とはいえ、互換モードを設定すれば筆者のノートPCでも正常に動作しましたのでプレイには問題ありません(互換モードなしでは、プレイ自体は正常ながらセーブが正常に行われませんでした)。

↑一応筆者のノートPC環境も記しておきます。これはこれで7年物、とんでもない低スペックのはずなのですが、流石に15年前のゲームと比べると超絶オーバースペックですね。

 さてさて、本作は、麻雀ファンには後述する独創的な麻雀の数々で知られていますが、一般的にはそれよりも下のようなOP映像で有名です。ニコニコ動画黎明期から現在に掛けて、大変クオリティの高い再現MADがアップロードされ続けており、一度は目にしたことがあるという方が多いのではないでしょうか。

www.nicovideo.jp

実は年々貴重になりつつあるsm4桁。

 OPが同じくニコニコ動画で爆発的に流行した『Nursery Rhyme -ナーサリィ☆ライム』や『ふぃぎゅ@メイト』同様、OPは知ってる、聞いた事ある、という方が多いのに対して、そのゲーム内容を知る方はかなり少ないようです。……残念ながら、自称「インターネット老人」の方々にも名前すら覚えていないという方は多く、そういう方々に私は不信感を持っていますが……。

 というわけで、今回は同梱されているシリーズ先発作品(リメイク版)も含めてレビューしていきます(……といいつつ、一番重要なのは表題作たる「R」なので、お時間のない方はそこだけでも読んでいただければ幸いです)。

パッケージ・付属品

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【写真1】外箱。銀色の18禁マークが光る!
 主張強めの外箱です。廃盤・メーカー解散済のためAmazonで中古品を購入しました。定価は8800円+税のところを4850円で購入しましたが、特に箱の退色や傷、凹みなどはありませんでした。
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【写真2】内容。 
 中身はDVD-ROMが1枚と、説明書、葉書が入っているだけです。私は美少女ゲームには全く詳しくないのでよく分からないのですが、持っている他の作品 もこのような感じ*1なので、これが15年続く基本スタイルなのでしょう。多分。

いただきじゃんがりあん リメイク版

概略

 2000年11月に発売された『いただきじゃんがりあん』のリメイク版です。オリジナルは8800円+税でしたが、こちらは『R』同梱のため実質無料脱衣麻雀が急速にゲームセンターから姿を消し、個人用ゲームへと移行していった過渡期の流れの中に本作も位置づけられるでしょう。

OP

 元々のOPは「Love Tension」という楽曲を使用したもの……でしたが、リメイク版ではカットされていて見ることができません。また、こういうゲームにはつきものの音楽鑑賞モードもないので聴くこともできません。何だよそれ。

キャラクター

 いわゆる「制服もの」で、登場人物は男主人公・佐藤和己を含め全員飲食店関係者という設定です。妹キャラやメイド服+眼鏡といった定番から、チャイナドレスや年上バニーガールなど、消費者のストライクゾーンに幅広く応えた総勢8名。

ストーリー進行

 麻雀に勝つことで各ヒロインのストーリーを攻略していくことになります(負けるとゲームオーバー)。しかも、全員1回勝つだけで攻略完了。私のように、普通の美少女ゲームでの正しい選択肢選択・フラグ立てを苦手としており、いつまで経っても話を進められない方にとっては非常に優しい仕様と言えます。逆にある程度この手のゲームに慣れている方には簡単すぎてあっけなく感じられるかもしれません。麻雀に勝ったら即脱いでくれる、というのもいかにも「エロゲ脳」という感じがしますが、そこはご愛嬌、ということで。
 目に見える選択肢は、麻雀勝利後に脱いでもらった後、行為に及ぶか及ばないか選ぶときだけです。行為を選択するとHシーンのCGが閲覧可&アーカイブに自動保存されます(私は麻雀目当てで興味ないから別に見返さないケド……)。隠し選択要素として、一人だけとしかエッチしないことでそのヒロインの個別EDが見られ、誰ともエッチしないことで妹を攻略できる、という仕様になっています。

ゲーム性(主に麻雀UI)

 肝心の麻雀ですが、このリメイク版では問題なく遊べるようになっています。対局は全て、プレイヤー側(すでに攻略したヒロインの中から任意で選択)と対戦相手(攻略するヒロイン)の二人麻雀になります。ルールは次のような感じになります。

  • 東家・南家のみ
  • 北抜き・西抜きはナシ
  • 喰い断なし・後付けありの「ナシアリ」ルール(←アリナシじゃないので注意!)
  • 飛び有り
  • あとは(荒牌流局までの巡数も含め)普通の立直麻雀。

 河に切られる牌数が少ないということもあり、正々堂々プレイするとなかなか決着がつきづらいですが、ヒロインが使えるイカサマを使うことで勝ちやすくなります。特に、主人公の妹・鈴音のイカサマ「一気通貫ツミコミ」を使えばまず負けることはありません。この能力では、同種牌が配牌・ツモの両方で現れやすくなるため、一気通貫のみならず、三暗刻混一色清一色などの大物手が狙いやすく、あっという間に終戦に持ち込めます。裏を返せば、ヒロイン毎に設定されているイカサマに応じて戦略を変えることができる*2ので、単調な対局の繰り返しにならずに楽しめます。
 ただし欠点も多く、まずCPUは聴牌即リーします。鳴かれていない場合、ダマテンを警戒しながら……というスリルは無いわけですね(逆にこれを良いと感じる人ももちろん多いかと思います)。また、二人麻雀ということで、三人麻雀・四人麻雀が好きな方には微妙な出来です。ただ、二人麻雀を含めて面白い遊び方を探っている方や、私のようにリアルの友人が少なすぎて二人麻雀しか打てない方の練習には向いていると思います。

グラフィック(立ち絵、脱衣・Hシーン)

 なにぶん20年も前のゲームですから、目の大きさ、絵の表現など、私にとっては随所に「歴史」を感じるところがあります。特に、立ち絵では目の縦方向が顔の半分に迫る長さのキャラクターもおり、(現実に比べてまだまだ大きいとはいえ)目の小さい絵に慣れている若い世代には違和感を禁じ得ないものになっています。しかしそれさえ気にしなければ、全体的に立ち絵や背景の塗りも丁寧で、平たく言って素晴らしい出来だと言ってよいと思います。特に、脱衣・Hシーンでは制服がちゃんと残っているのが最大のポイントで、キャラの特徴が消えませんし、私のように、布面積が広い方が好きな人間でも大満足です。

その他操作性・動作

 すぐ目が行くのは、コンフィグ画面【図3】の「オートモードの速さ」がおかしくなっていることです。3が選択できませんが、私は2だと遅く、4だと速く感じるので最悪です。

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【図3】コンフィグ画面。左側上から2段目が何かおかしい。
 このほかにもバグが多すぎてパッチを当てないとたまったものではありません。麻雀に負けると、ゲームオーバーながらも一応分岐ストーリーが見られるのですが、パッチを当てないと「スクリプトが見つかりません!」と表示されて強制終了してしまいます。
 また、そもそもこのゲーム、リメイク前は麻雀が麻雀として成立しませんでした。『いたじゃんR』宇宙麻雀の項で述べる不具合に加えて、白があるのに清一色になる*3、役無しで上がれる、等々の不具合があったということ*4です。特に、上記した「一気通貫ツミコミ」があるにも関わらず、一気通貫が役にならないのには流石に頭に来た方が多かったのではないかと推察します。こういったバグは十数回に及ぶパッチ配布の末に修正されましたが、その後に出たはずのこの同梱版でなぜかバグが修正されていなかったり、逆に増えてしまっていたりします。うーん。
 あとは一応、九蓮宝燈和了した際の特殊CGが回収できなくなっている……らしいのですが、よく考えたら九蓮宝燈なんて上がれないので私には関係ありませんでした。

評価

 ノベルゲームとしても麻雀ゲームとしても今ひとつ、さらにバグだらけとあっては定価ではぼったくりと言わざるを得ません。これは2020年、無料でハイクオリティーのゲームを当然のように思っている生意気野郎の考えなので、20年前/15年前の当時の方がどう思っていたか、は分かりません。まあでも、同梱版は実質無料なのでそれならいいんじゃないでしょうか(適当)。

いたじゃんノベル

概略

 こっそり同梱されているHTML形式のケータイ小説(全3頁)です。もとはサンデー社発行のアダルトゲーム情報誌「パソコンパラダイス」に連載されていたものです。

内容

 中身は『いたじゃん』と『いたちょこ』の幕間です。会話文多めでサービスカットあり、可も無く不可も無く、つまらないわけでも、すごく面白いわけでもなく、といった感じです。ただ、うっかり読み忘れて進むと話が飛んでいて訳が分からなくなるので、さっと一読しておきましょう。

いただきじゃんがりあん ちょこっとあどべんちゃー

概略

 前述の通り、『いたじゃん』は当初パッチなしではお話にならないほどのバグゲーでした。そのお詫びとして購入者にCD-ROMで無料配布されたのがこの『いたちょこ』です。

キャラクター

 『いたじゃん』の8名にこれまたキャラクターの立っている3名が新しく加わっています。また、元からいるキャラクターを取り巻く情勢にも変化が見られます。

ストーリー進行・ゲーム性

 本作では麻雀がタイピングに変わっています。「いたじゃん」同様、ストーリーの分岐はなく、キャラとの対戦に勝つことで進行していきます。ストーリーはキャラ別ではなく、一本道となっており順番に攻略(=脱いでもらう)していきます。

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【図4】ヒロインの高飛車な性格が伝わってくる長文台詞タイピング。
 ストーリーモードは、2分の制限時間内に目標点数を超えられればクリアとなります。目標は最大で1兆点! と一見高そうですが、ミス無くコンボを伸ばすことで点が跳ね上がっていくシステムである上、入力法への対応も幅広い(じゃ→jya/ja/zya、てぃ→teli/texi/thi、等々……)ので、見た目より遥かに簡単です。失敗しても、目標点数を半分にした上でコンティニューできるので、詰むことはありません。
 ただし、麻雀・ファミレス用語、キャラの名前・台詞といった独特の出題が多めです。特に、キャラの台詞はものによっては非常に長く、さらに独特の語尾や故意の脱字・も相まってミスを誘います。ただ、画面を凝視しながらブラインドタッチする練習になりますし、台詞が自然と覚えられてストーリーの理解も深まるので悪いことではありません。

グラフィック

 立ち絵がずっと変わらない所は気になりますが、他は前作と特に変わりありません。

その他操作性・動作

 最大の欠点はBGMがないこと。DVD-ROMへの移植の際に脱落してしまったものと思われます。「BGM観賞」モードはただ曲名を見つめるだけのモードになってしまっています。ただし、ボイスやSE、OPはちゃんと入っているので、音楽は別に聴きながらプレイするタイプの方には問題ないでしょう。
 また、デフォルト設定でオートプレイを使用すると、ボイスの途中で次に進んでしまうのも問題点です。ただ、設定を弄ればよい(オートモードそのもの調整はできず、代わりに文字を遅くする必要があるのでわかりにくいですが)ので、遊ぶ上で特には困りません。

評価

 平たく言ってタイピングゲームとしてはかなり良質です。寿司打などのフリータイピングゲームよりも長く独特な文章が遊べるので、そういったものに飽きてしまった方に向いていると思います。他方、一部を除いて脱ぐだけで本番行為に至らないので、そっちを期待している方には物足りないかもしれません。

いただきじゃんがりあんR

OP

 この記事冒頭でも紹介したノリノリの音楽×優良グラフィックで、「OP名作」とよく言われます。映像は、後に『Rewrite』のアニメOPや「物語」シリーズのディレクターを手がけたURA氏の作品。Flash隆盛末期の懐かしさを漂わせながら、しかしそれでいて今日のものと全く遜色ない鮮やか・なめらか・煌びやかな動画はしばしば「オーパーツ」と呼ばれるほどクオリティが高く、様々な再現MADの追随も頷けます。また、中毒性の高いテーマ「Love Cheat!」はMOSAIC.WAVが担当*5し、現在でも各種配信サイトでストリーミングやダウンロードが可能な他、DAMJOYSOUNDの二大カラオケ機種両方で歌えます。気に入った方は是非注目してみてください。

楽曲

 OP「Love Cheat!」以外にも、ED「パジャマ de ぱ・ぱ・ぱ」と挿入曲「マジカルリンス・マックスハート」をMOSAIC.WAVが担当しています。時代を感じさせる電波ソングですが、いやしかしさすがMOSAIC、と言いたくなるようなテンションの上がる曲揃いです。BGMもメリハリがついて好印象。やっぱり美少女ゲームの楽曲は舐められたものじゃないな、といういつもの感想です。

キャラクター

 『いたじゃん』で8人だった攻略キャラクターが14人! に増えました。金髪縦ロールや武闘派褐色、シスコン僕っ娘や初恋相手のおっとり系お姉さんなど、より広いフェチに適応しています。また、攻略対象ではないもののHシーンはある、というヒロインも2人。これにはモブ派もニッコリ。

ストーリー

 『いたじゃん』では各ヒロインにつき麻雀1回、勝ったら脱いでもらって終わり、という雑さが否めない脚本でしたが、本作ではヒロインが増えただけでなく、ストーリーも理路整然としてしっかりしたお話として成立しています。麻雀に勝てば脱いでもらえるという御都合主義は相変わらずですが、前作は全て主人公目線だったのに対し、本作では各ヒロインがそれぞれのストーリーの中心となっている点が異なります。恋心や下心を中心に回る人間ドラマが展開されており、前作より遥かに見応えあるものに。「各ヒロインを攻略する」というより、「各ヒロインの物語を進める」という感じなので、そのルートのヒロイン以外とエッチしたり良い感じになったりすることが多いです。ここはちょっと好みが分かれるところかもしれません。
 また、特定の対局では麻雀の結果によってストーリー分岐が発生します。普通の美少女ゲームと違って選択肢ではないのでなかなか気がつきにくいところです。是非探してみてください。私は雑魚なので、狙ったわけではなく単純に負けて突入しました。

グラフィック

 登場人物の目が小さくなり、その他の部分のタッチもだいぶ「新しくなった」感じがします。立ち絵は不動になりましたが、その代わりに左下の発言者ウィンドウにバラエティ豊かな表情が表示されるようになりました。

ゲーム性(主に麻雀UI)

 『いたじゃん』同様、麻雀に勝つことでストーリーが進みます。先述の通りヒロイン数もストーリー毎の対局数も増えていますから、対局回数も大幅に増えています。ただし、いろいろな理由により、ボリュームだけでなく難易度も遥かに上がっています。以下に理不尽な難しい点を列挙します。

  • 二人麻雀だけでなく四人麻雀もある(←これはまあ普通)
  • 相手の聴牌が異常に速い(←これは私が遅いだけかも)
  • 宇宙麻雀(後述)の際、受け入れが広すぎて迷ったり、うっかり振り聴になったりする。
  • ただ勝つだけでなく指示された条件を満たさないといけない。
    ―「下家と二人で対面より上の順位になれ」「一回も和がらせずに勝て」「二回満貫以上を和がって勝て」など多様な麻雀力が問われる。
    ―しかも、立直していなくても当たり牌を見逃すと終局まで振り聴になる不具合があり、特定の相手に振り込ませることが非常に難しい。
    ―コンビ打ちで勝つ条件なのに、味方が自分の邪魔をしてくることも。
  • 相手のイカサマが前作より強烈になっており、天和【図5】や地和、ダブリー清一色などで簡単に負けになる。
  • 不利になると勝負を振り出しに戻すため、大物手で飛ばさないと進まないキャラがいる。

などといったところでしょうか。ただ、苦労する分撃破したときの喜びも一入です。

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【図5】CPUの「ソウズツミコミ」による天和。こんなことをされてしまっては為す術が無い。 尚、このキャラは他にも、立直を勝手にダブル立直にするなど強力なイカサマを有する。

その他操作性・動作

 前作に引き続き、修正パッチを当てないとまともにプレイ不可能な代物です。9作目にしてこれなのですから、10作目を出した直後にメーカー解散となったのも残念ながら当然。いろいろあるバグで特に酷いのは、ストーリー選択画面で一番左上にいるキャラが、勝っても負けたことになり攻略できないというもの。人間は普通左上に目が行くので、いきなり1人目からクリアできないとなるとたまったものではありません。
 前作から劣化してしまった点としては、途中セーブデータが誰のルートなのかわかりにくいことが挙げられます。前作ではステージ名・パート名が記されていたのですぐ分かったのですが、本作ではステージ名が削除されパート名のみとなってしまいました。

宇宙麻雀(一番大事)

 本作最大のアピールポイント*6(諸説有)で、私はこれを遊ぶのが目的で本作を買いました。前作で頻発したとんでもないバグの数々を開き直って特殊ルールとして採用したもので、基本の立直麻雀ルールに以下のようなものが追加されています。

  • 数牌のループ(891912を順子として認める)
  • 字牌の順子・チーを認める
    ―ただし、字牌をチーした場合国士無双大三元は成立しない。
  • 誰からでもチーできる
  • ドラのみ和了を認める(後付けありの場合)
  • 七対子が役にならない(これには土田浩翔先生も涙目)
  • 点数計算は青天井ルール

という感じです……が、あんまりしっくり来ないので牌姿の例を見てみましょう。
f:id:gskreview2017:20200617200037p:plain    例えば上の牌姿は、普通の麻雀なら国士無双イーシャンテン(1索・9索待ち)です。が、宇宙麻雀では字牌の順子・順子のループを認めていますから、912萬/912筒/白發中/東南西/北北の4面子1雀頭が揃っていることになり、チャンタ+メンゼンツモ+ドラで4飜30符の和了、という選択肢もあります。堅実に2000・3900を取るか、青天井なら780万点を超える国士無双+ドラを取るか、あなたならどうしますか?
 ちなみに、図で右側に理牌した東南西北の4枚は、いずれがもう1枚来ても面子+雀頭ができますので、四面張ノベタンということになります。一体何を言っているんでしょうか。

 実際の例としては次のような牌姿があります。数牌ループと字牌チーを生かして【図6】のように宇宙多面張の染め手を目指すもよし、【図7】のようにドラのみで最速和了を目指すもよし。麻雀牌が家にある方は是非友人とやってみてください。それぞれの雀風が色濃く出て面白くなると思います(あれ、これゲームの紹介じゃ……)。

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【図6】普通麻雀なら7・8・9の3面張のところ、891や912を考えることで6面張に。 高目は三暗刻単騎の9で、一発ツモなら11飜40符。他は9飜止まり。
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【図7】ドラのみ和了。東南西が順子。

マグマ麻雀

 宇宙麻雀の影に隠れていますが、こちらも本作の魅力の一つ。通常の麻雀では0~4枚の赤牌(赤ドラ)を使用し、和了したときにこれを持っていれば枚数×1飜上乗せというルールですが、マグマ麻雀では全ての牌が赤牌になります。

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【図8】マグマ麻雀。文字を赤くできない白・中は全体が赤くなる。
 目がくらむような真っ赤ですね。和了時の牌は最低14枚ですから、上がれば最低15飜、すなわち数え役満確定です。25000点スタートで飛び有りなので、役満か飛びかの二択。非常にスリルのある一戦です。攻略ストーリーでの一局しか打てないのが残念ですが、人と打つときに全牌ドラ扱いで真似してみると面白いかもしれません。

フリー対局

 ヒロインのストーリーを一人分以上攻略すると、トップ画面に「フリー対局」が現れ、前作ではできなかったコンピューターとの麻雀勝負を楽しむことが出来ます。シークレットを含めた未攻略のキャラも使えちゃうのはどうなの?という気がしますが、実はこのフリー対局かなり面白いです。こちらの対局設定画面【図9】をご覧ください。

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【図9】八連荘や三家和、割れ目や飛びについても細かく設定できる。
 実に多様な設定があるのが分かると思います。まず、超高打点麻雀が楽しめるのがポイント。そもそも青天井で遊べる麻雀ゲームがかなり稀少*7。さらに、0枚か3枚ということが多い赤ドラが、最大6枚使えます。快楽物質が頭の中を駆け巡るスリルたっぷりのインフレ麻雀を思うがまま堪能しましょう。もちろん、豪快に放銃してしまった場合でも、家を差し押さえられたり、腎臓を取られたりする心配は無いので安心安全!
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【図10】本来は数え役満で8000・16000のところ、役満で打ち切らないので655400・1310800(+2000)! なお、ツモ平和は一律20符となっている。
 また、一荘戦ができるのも面白いですね。南4局までの半荘(東南)戦を限度としているアプリ・サイト・ゲームが多く、北4局まで遊べるところはほぼありません*8。他にも赤ドラをいつもの5ではなく3にしたり、アリナシを自由に選べたりと色々工夫して楽しむことが出来ます。普段遊ぶネット麻雀と違うルールの雀荘に行ったり、異なる地方出身の方と打ったりする前の練習にいかがでしょうか?

通して遊んだ感想

 美少女ゲーム・麻雀ゲームの2つの側面を持つ本作。私は第一に麻雀の方を期待してプレイし始めましたが、UIの悪さを差し引いても青天井・宇宙麻雀の二大変則ルールが楽しめたので十分満足です。特に対人オフラインで麻雀を打てない現在ではかなりいい気分転換になりました。しかも、染め手が複雑になる・簡単に逆転されるという宇宙麻雀の特徴に慣れた結果、複雑な待ちを把握する力やノミ手でさっと上がる力が付き、ネット麻雀での平均着順に向上が見られました。良い買い物だったと思います。
 他のゲームで苦い思いをした経験があり、ストーリーの方にはあまり期待していなかったのですが、ストーリー進行も単純であり、キャラがたくさんいるのに全員の個性がしっかり立っていて、投げ出すことも飽きることもなくクリアに漕ぎ着けました。いや、飽きっぽい私が一周クリアまで漕ぎ着けるってかなり凄いことなのですよ(知らないよ)。絵やキャラの性格がいかにも古いな~という点は少なからずありましたが、それを差し引いても満足いくものでした。ただし、麻雀を知らないと何もできないので、そこはご注意ください。

おわりに+宣伝

 ここまで読み進めていただき、ありがとうございました。もし暇つぶしの手段を探す一助となることができましたら著者冥利に尽きます。タイトルに「懐かしの平成美少女ゲーム ~その1」などと銘打っていますが、しつこいようですが私は美少女ゲームが全然できないので続くかは分かりません。別に続いたところで、ね……? 本ブログの更新自体は様々なコンテンツを対象にどんどん続きますので、ご期待ください。
 最後となりますが宣伝を。私達筑波大学現代視覚文化研究会は、8月13日~16日にバーチャル空間上で行われる同人誌即売会、ComicVket1に参加いたします。我々レビュー班一同も会誌に寄稿する予定です。皆様のご来場を心よりお待ちいたしております。 ComicVket1の詳細は、ComicVket公式サイトをご覧ください。また、本会の出展につきましては、会公式Twitterまたはレビュー班公式Twitterにて情報を随時更新していく予定です。是非ご確認ください。というわけで、今度こそありがとうございました。また、いつかどこかで。

*1:などといけしゃあしゃあと書いているが、他に持っているのはゆずソフト『喫茶(カフェ)ステラと死神の蝶』1本だけである。

*2:例えば、「三元牌ツミコミ」には生牌の三元牌を切らない、「老頭ツミコミ」には1・9牌はもちろん2・3牌も安易に切らない、など。

*3:白は字牌(三元牌)なので混一色になるはず。

*4:残念ながらリメイク前(単独商品版)を入手できていないため、未確認。

*5:ちなみに、前述した『ふぃぎゅ@メイト』のOP「ガチャガチャきゅ〜と・ふぃぎゅ@メイト」もMOSAIC.WAV楽曲である。

*6:Twitterや各種ブログを漁っても、宇宙麻雀に関する記述がほとんどで肝心の大人要素への言及はあまり見当たらない。

*7:他には『東方幻想麻雀』(Nintendo Switch、税抜3500円)がある。……あれ、こっちの方が安くてオンライン対戦もできるからいいんじゃないかな……?

*8:他にはSDIN麻雀ゲーム(https://sdin.jp/browser/tile/mahjong/)など。

パワポケやろうぜ!

まえがき

皆さん、こんにちは。筑波大学現代視覚文化研究会レビュー班、班長のほるかすと申すものです。

先日、コロナウイルスに関する緊急事態宣言が解除されました。
筑波大学では、感染の再拡大を防ぐため緊急事態宣言の解除後もオンラインでの授業形式を継続することが決定されています。
当然、サークル活動等の活動も自粛ムードであり、我々レビュー班も現在はオンライン上でのミーティングを余儀なくされております。

レビュー班は毎年、コミックマーケットや学園祭等へのレビュー本の出版を目標に活動しています。
しかし、今年はイベントの開催すらも危ぶまれる状況ですのでメンバー一同で今後どういったことをしていこうか案を出し合っている状況です。
このブログもそんな状況の中、レビュー班として何とか活動できないか考えた結果の一つだったりします。 今回は、自分の愛してやまないゲーム「パワポケ」の魅力を紹介します。どうか楽しんでいただけたら幸いです。

パワポケとは

今回紹介するのは、シリーズ発売から去年で20周年を迎えたゲーム「パワプロクンポケット」(通称:パワポケ)シリーズです。

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シリーズ第一作目(1999年発売)

野球ゲームとして有名な「実況パワフルプロ野球」(通称:パワプロ)の姉妹作にあたり、シリーズ全体で15作1 あります。 ゲームシステムは端的に言うと、野球版ときめきメモリアルです。
練習等により得られた経験点をもとに選手の能力を強くしていき大会での勝利を目指します。 パワプロとは異なり、シナリオをかなり重視した内容となっており、裏社会や彼女、超能力、社会風刺などの要素をふんだんに詰め込んだ独特な世界観を持っています。

シリーズ完結からかなり時間が経った今でも熱狂的なファンの多い作品で、先日ファンからの熱望もあってかパワプロアプリ2の方でパワポケとのコラボが行われていたりします。

パワポケの魅力

濃厚なシナリオ

パワポケの魅力といえば、やはり何といってもシナリオの面白さです。

シナリオは主に「メインシナリオ」と、プレイヤーの行動や選択、ランダム要素により見ることができる「サブシナリオ3」から構成されます。
メインシナリオは、毎プレイに共通したストーリーで、野球ゲームらしい王道的なシナリオのものが多く4、様々な困難が降りかかる中でチームメイトと大会での優勝目指して奮闘していく様が描かれていきます。
サブシナリオでは、チームメイトや彼女キャラとのストーリーだったり、メインシナリオでは描くことのできなかった部分を補うストーリーが展開されます。

パワポケのシナリオの最大の特徴として、シリーズ全体として時間軸がつながっている、ということが挙げられます。
劇中ではシリーズ全体で20年もの時間がたっており、全15作品もあることを考えるとこれは脅威的です。
過去作のキャラクターが次の作品で登場するのはもちろん、至る所に散りばめられた伏線が数年越しに回収される様はまさに圧巻です。
特に、「パワポケ11」での通称「6人組イベント」では、シリーズの核となる秘密を見ることができ、バラバラだったピースがはまっていく感覚に私自身鳥肌が立ちっぱなしだったのを記憶しています。

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6人組イベント、世界の終焉を避けるために集められた

また、ファンの間で特に人気なのは、彼女キャラとのシナリオです。
パワポケが「鬱ゲー」と称されるのもこれによるところが大きいです。
プレイヤーの行動や選択の結果によっては彼女キャラが凄惨な目に遭うことが多く、「“普通”に死ぬことすらできない」彼女キャラが多数存在します。

特に「パワポケ12」に登場した彼女キャラの「パカーディ・ハイネン」はファンの間でも衝撃的なバッドエンドを迎えることで有名です。
生体兵器「ドラコ」との戦闘により敗北すると彼女は捕獲され、脳みそのみを培養液の中で管理されてしまいます。
たとえ意識を失ったとしてもすぐに記憶のバックアップが行われ、永遠の苦しみの中で生き続けるという、死んだほうが全然ましという絶望的な鬱エンディングを迎えることとなります。

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パカーディのバッドエンド、そのむごい有様からメロンパンと呼ばれていたりする

中二心くすぐる名ゼリフの数々

パワポケには様々な境遇のキャラクターが存在しますが、その一言一言にリアリティがあり物事の核心を突いたドキリとする発言が多く存在します。この章では、そんなパワポケの世界に住むキャラクター達のしびれるセリフを一部紹介します。

①ヘルガ(パワポケ6)

悲劇と絶望なくして希望の種は育たんのだ!

ヘルガはBB団という悪の組織に所属する冷酷な軍人です。
「希望を託すべき神秘・夢はこの世界にはもう残っていない、そうなったら世界には絶望しか残っていない」という発言もあるように、これこそが彼女が人類の敵であるBB団として活動する理由であり、彼女は絶望を通して世界に希望を残そうとしているのです。

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人類の共通敵となることで希望をもたらそうとするヘルガ

②神条紫杏(パワポケ10)

普通選挙制など人類最大の失敗制度のひとつなのだ。 知識も責任感も乏しい人間に広く投票権など与えれば、結局は多数決で愚かな選択しかできなくなってしまうだけだ。知っているか、(主人公の名前)!歴史的に悪名高い独裁者の大半は民主的な投票によって選ばれたのだ。

かなり大胆なことを言っていますが、言い返せない部分があるのもまた事実。パワポケが社会派な一面を持ち合わせていることがわかる象徴的なセリフです。

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ブーメラン刺さってますよ

③木岡鈴音(パワポケ6)

最後の日にどうしてもっと優しい言葉をかけられなかったのか、私は一生後悔しながら生きていくのですね。
鈴音は強い女です。
あなたのことを忘れません。
そして、鈴音は弱い女です。
あなたのことを忘れられません。

未来へ帰ってしまった主人公を想い、月を見ながらヒロインがつぶやくセリフです。
雅な彼女らしい詩的な表現で、とても切ない印象を受けます。

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あわれなり

豊富な選択肢と分岐するシナリオ

パワポケを含むパワプロシリーズでは、主人公の行動やキャラクターとの会話中に選択肢が出てくることがあり、どれを選ぶかによって得られるポイントや今後の展開が変わっていきます。
特に、パワポケでは本家パワプロとは比較にならないほど選択肢の数が多く、それによって分岐するシナリオの数も莫大です。

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選択肢のどれを選ぶかによってシナリオが分岐。ちなみに、ここの選択肢の正解はルートにもよるが「選択肢を選ばず、時間切れになること」

彼女攻略の際にはこの選択肢が非常に大事で、シナリオをきちんと追っていないと正解がわからないものや、そもそも特定の条件を達成していないと選ぶことすらできない選択肢もあり、攻略の難易度を上げてる一因だったりします。

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不正解の選択肢。BADエンド直行
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正解の選択肢。彼女のよく話す例え話「シュレーディンガーの猫」が伏線

挫折したチームメイトに、家族を亡くした彼女へ、何と声をかけてあげればいいのか。
主人公と一緒に考え、悩み、絞り出した選択により得られた結果は、それが良いもの悪いものに関わらず、プレイヤーの心理に深く深く突き刺さります。

もっといろいろ知りたいあなたに

ゲームソフトを買ってもらうのが一番だとは思うのですが、ナンバリングによっては手に入りにくかったり、そもそもゲームボーイやDSを持っていない人もいる気がするので、
今回で興味を持ってくれた方はYoutubeやニコニコの動画サイトでパワポケ 彼女攻略」や「パワポケ ○○(彼女キャラの名前) 攻略」で検索することをお勧めします。
やはり、パワポケは彼女キャラの可愛さやシナリオの奇抜さが人気の作品なのでまずは、どんな感じの彼女キャラがいるのかを知るのがいいと思います。
個人的おすすめ彼女キャラは、芳槻さら、森友子、広川武美、川田ゆらりです。ほんとは全部おすすめです。

とはいえ、彼女攻略動画はあくまで彼女キャラとのイベントのみがピックアップされており、仲間キャラやメインシナリオ、野球ゲームとしての部分が省かれているので本当の意味でパワポケを楽しみたいなら実際にプレイすることを強くお勧めします。
動画だと簡単に甲子園優勝してますが、実際にやってみると彼女攻略をしながら優勝はなかなか難しいです。
その苦労により得られたグッドエンドだからこそ心に来るものがあると思うので、本当に実際にプレイしてみてほしいです(伝われ)。

パワポケは全15作あるので、どれからやったらいいのか迷うと思いますが個人的なおすすめのナンバリングは1,10,13です。
パワポケ1は全体のストーリーと伏線をきちんと追いたい人、
パワポケ10,13は「とりあえず1作でいいからパワポケやってみようかなー」と思った人向けです。メインシナリオがかなり王道で熱いのでとっかかりやすく、またどの彼女候補も可愛らしくシナリオもユニークなものが多いです。

終わりに

パワポケは去年でシリーズ20周年を迎えました。去年のパワプロコンサートでのパワポケメドレーや、先日のパワプロアプリとのコラボなど、シリーズ完結後もちょくちょく公式から展開があったり、根強いファンが多くまだまだ熱のあるゲームだと僕は思っています。この記事を読んでくれた皆さんの中に、パワポケファンが生まれることを願って今回は終わろうと思います。


  1. パワポケ甲子園」もシリーズの一作として発売されたが、開発スタッフやゲームシステムが大きく異なるため、パワポケシリーズからは除外されることが多いです。

  2. パワプロスマートフォン版アプリ

  3. サブシナリオの濃厚さからむしろ、こっちがメインといっても差し支えないかもしれない。でも、メインの野球部分も面白いんですよ!

  4. 中には、ホームレスが草野球したり、ニートネトゲするという変わったものもあります

こんなご時世だし音声作品で癒やされよう

はじめに

皆様はじめまして。 筑波大学現代視覚文化研究会レビュー班所属のRitoと申します。 最近嬉しかったことは、しばらく前に花譜ちゃんの存在を紅葉君に教えたら見事にドハマりし、ついにこんな記事を書いてくれたことです。 これがレビューの力か……と勝手に思っています。

ぜひ新入生にもいろんなコンテンツを直接布教したかったのですが、世界中でSARS-CoV-2が猛威をふるった結果、見事に新歓は爆散してしまいました。後輩とのコミュニケーションを楽しみにしていた私としては悲しい限りです。 今後レビュー班でなにか新入生向けの企画等があれば、レビュー班公式ツイッター現視研公式ツイッターにて告知しますので、チェックして頂ければと思います。

そんな現在筑波大学では全授業をオンラインで行っています。個人的には家でじっくり授業が受けられるので大変嬉しいですが、もちろん弊害もあります。私の学類1では100%試験で成績を付ける科目が多いのですが、当然この状況で試験など行えません。

そのため、すべての授業が毎週レポートを課す形になりました。課題!課題提出!課題!課題提出!課題!(以降繰り返し)の毎日です。週刊誌で休載する漫画家の気持ちが分かった気がする 正直言うとめ~~~っちゃしんどいです。きっとこの記事を読んでる方の中にもしんどい方、いると思います。

そこで今回は、私がしんどくなったときに聴く「音声作品」の中から、はじめての方にもおすすめな作品を2つ紹介しようと思います。

そもそも音声作品ってなんだよ

そもそも「音声作品」とは何かについて、知っている方も多いとは思いますが、分からない方向けに説明します。

「音声作品」とは、読んで字の如く「音声で構成された作品」です。最近は「ASMR2」や「バイノーラル録音3」という言葉なら聞いたことがあるよ、という方もいるでしょう。 音声作品の中には、聞き手が主人公となって会話やらHやらを楽しむ作品以外にも、キャラ同士の会話を壁として楽しむ作品、はたまた「催眠音声」と呼ばれる催眠にかかることを目的とした音声など、多彩な作品が揃っています。
音声作品の販売サイトはDLsiteが代表的です。ほかにも販売サイトはありますが、DLsiteはクーポン配布や割引セールを多く行っていますし、ダウンロードなしでどのデバイスでもブラウザ上から作品を聴ける「DLsitePlay」という神機能があるので、個人的にはかなりおすすめです。

作品レビュー

それでは作品紹介に移りましょう。 今回紹介する作品は、聞き手が主人公の作品と、催眠音声の2つです。

1「ペトリコール」

www.dlsite.com

まず紹介するのはサークル「HELLCircus」さんの「ペトリコール」という作品です。

この作品は、聞き手は猫で、たまたま拾ってくれた女の子にお世話してもらうという作品になっています。

内容としてはまず喫茶店の女性が猫(=聞き手)を見つけるところから始まります。雨の中大変だったろうと体を拭いてくれたあと、爪や耳の手入れをしてもらえます。そして最後は一緒に添い寝……

これがもうめちゃくちゃ癒されるんですね。これを聞いてるとき僕は完全に猫でした4。人に猫として大切にされる感覚、人より小さいからこその包まれるような安心感、猫に対して独り言のように話す内容や落ち着く声など、作品全体に心が温まるようなやさしさがあふれています。日々の疲れなんて全部吹き飛びます。

仕事や課題に疲れたときや、癒されたくてたまらないとき、心を落ち着けたいときにぜひ聴いてみてほしいと思います。値段もなんと45分で110円+DLsiteならポイントで10%還元コスパ最強です。

2「瞬間催眠リフレ」

www.dlsite.com

続いて紹介するのは、サークル「オミ・オクル」さんの「瞬間催眠リフレ」という作品です。

私は以前同サークルの「看取られ音声」をレビューさせて頂きました5。この他にも他のサークルにはない斬新な音声作品を制作しているサークルさんです。 今回紹介する瞬間催眠リフレも例に漏れず、なかなか斬新な作品に仕上がっています。

「催眠」というワードを聞いて不安に思う方もいるかと思いますが、怖いものではないので安心してください。気になる方は購入の前に色々調べてみると良いと思います6

内容としては、まず一番最初に聴く際少し長めの催眠誘導音声(催眠にかかるための音声)を聞き、催眠状態という簡単に言えばリラックスしたような状態に入ります。そして、催眠状態にすぐなれるトリガーを残した状態で起きます。その後は

  • 「朝起きた時」
  • 「一日の終わり」
  • 「気持ちを切り替えたいとき」
  • 「集中したいとき」

と用途別にわかれた5分ぐらいのトラックを、聴きたいときに聴くという内容です。

用途別の部分では、最初に用意したトリガーを使って催眠状態に入り、そこで語り手であるミオちゃんがあなたのことを肯定して、癒して、勇気づけてくれます。これが催眠状態なのも相まって非常に心に染みわたります。自己肯定感があんまり高くない自分からすると、「がんばったね」と言われるだけでもうとっっっっても嬉しくなります。最後にミオちゃんに送りだされて現実に戻ってくるのですが、ほんとにすっきりして「よし、これから課題頑張るぞ」と集中できます。いろんなことを考えてしまって勉強が手につかないときも、「よし、切り替えていこう」となれます。ほんとにすごい。

上手く気持ちを切り替えたり集中したりできない方、朝起きてもけだるさが残ってる方、夜に色々考えてしまって眠れない方などにおすすめです。また、最初の催眠誘導音声を聞いてしまえばかなり短時間で聴けるので、あまり時間がない方にもおすすめできる作品です。

さいごに

今回は、この2作品を紹介しました。ですが、世の中にはたくさんの作品が存在しています。この記事で興味を持っていただけたなら、ぜひ様々な作品に触れてみてほしいと思います。おすすめしたい作品もまだまだいっぱいあるので、今後も書いていけたらと思っています。最後までお読みいただきありがとうございました!

Rito


  1. 他大学で言うところの学科

  2. Autonomous Sensory Meridian Response の略。ある音を聞いたときに脳がぞわっとする反応や感覚のこと

  3. ダミーヘッド等を用いて録音することで、実際にその場にいるかのように聞こえる録音方法

  4. “猫になっていると思いこんでいる自分"を想像すると大変アレだが、聴いているときはまったく気にならない。猫なので。

  5. 「キモオタ -2019 Summer-」(C97) にて

  6. 催眠術は実際に様々なところで使われる技術で、資格等もあったりします。そのため、素人の私が下手に解説して誤解を招くよりも本職の方のサイトや本を参考にするのがよいと思います。丸投げとも言う

花譜MV『過去を喰らう』ロケ地巡礼レポ 【前篇】 #花譜

まえがき

皆さん、こんにちは。

筑波大学現代視覚文化研究会(略称:げんしけん)レビュー班所属の紅葉(もみじ)と申します。

COVID-19が世界中で猛威を振るっていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。筑波大学でも、春学期の授業は全てオンラインで行うことになり、ほとんどの新歓イベントは中止になってしまいました。げんしけんでも、例年ならばたくさんの新入生のみなさんが来てくださる新歓企画がなくなり、大変残念ではありますが、世情を考えれば仕方がないことですね。

もし、この記事を読んでくださっている方の中に、げんしけん、そしてレビュー班への入会を考えておられる方がおられましたらとても嬉しく思います。新入生の方の活動日程などはまだ決定していないのですが、決まり次第公式ツイッターなどで告知いたしますので、もうしばらくお待ち下さい。

さて、前置きはこのくらいとしまして、記事の内容に入っていきましょう。

本稿の「聖地」について

前回、班員のオンプエスさんがエロゲのレビューを書いていましたが、今回は趣向を変えて聖地巡礼レポを書いてみます。いやそれは「レビュー」なのか?と突っ込まれれば微妙なところなのですが、我が班はフィクション以外の文章なら大体許されるみたいな風潮があるので大丈夫です1。たぶん。

さて、現在沸騰中のVTuber界隈において、現在人気沸騰中のVSinger「花譜」。おそらくこのブログを読んでくださっているような人に詳しい説明は不要でしょうが、もし聞いたことないよ~という方がいましたら、是非聴いてみてください。

VTuberには疎い私ですが、花譜ちゃんに関しては「観測者」2の端くれを名乗れるくらい、彼女の歌声は大好きです。あどけないながらも、くっきりと強い芯を感じさせるそのボーカル、切なくも未来を見据えたその歌詞からは、何度も明日を生きる希望をもらってきました3。 そんな彼女の代表曲とも言えるのが、『過去を喰らう』。

www.youtube.com

迫力のあるメロディと印象的なMVが特徴のこの曲ですが、実は歌っている花譜ちゃんの背景映像は、全て新宿駅周辺で撮影されたものなのです。

COVID-19の流行前、私(と、友人2名)はこの曲の背景を撮影したと思われる場所を新宿駅周辺で探索し、撮影地点が特定できた場所については該当カットとできるだけ同じ画像を撮影してきました。この場をお借りして、撮影場所の地図とともにご紹介したいと思います。

撮影機材:iPhone8またはXperia XZ1 Compact
撮影人数:3名(筆者・中央大のシナダくん・埼玉大のKくん)
撮影日:2020年3月上旬

ロケ地の紹介

上記の地図は、撮影地点を新宿駅周辺にマッピングしたものです。以下、この地図をもとに、動画の再生時間とその歌詞とともに、カットごとに解説していきます。上掲の動画をご覧頂きながら読むとわかりやすいかと思います。
また、地図タイトル左側のアイコンをクリックするとマッピング地点の一覧が表示されますので、合わせてご覧ください。

① 0:40 「足が抜け落ちたのも 気づかない」

最初の撮影地点は0:40「足が抜け落ちたのも 気づかない」の部分。地図でいうと「①新宿駅東南口 東京メトロE9入口階段」。

撮影場所:新宿駅東南口 森治ビル付近 東京メトロE9入口階段

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① 0:40 「足が抜け落ちたのも 気づかない」

地下鉄入り口の階段と思しき場所でした。これは、背景に小さく「森治ビル」と書かれていたため、撮影地点を探すことは比較的容易でした。

② 0:54 「貪欲な顔で待っている」

2つめの撮影地点は0:54「貪欲な顔で 待っている」の部分。地図でいうと「②新宿駅東南口 タイトーステーション付近」。

撮影場所:新宿駅東南口タイトーステーション付近

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② 0:54 「貪欲な顔で待っている」

①と近い場所ですが、撮影地点の特定にはなかなか苦労しました。言葉で説明するのはなかなか難しいのですが、新宿駅東南口を出て、甲州街道を東に向かって進んでいくと、背景にあるような赤地の広告が見える場所があります。ここで、高架下に降りてその方向を眺めると、ぴったりと合う場所が見つかります。

③ 0:56 「侘しさも」

3つめの撮影地点は0:56「侘しさも」の部分。地図でいうと「③新宿駅西口ロータリー A17入口付近エレベーター前 」。

撮影場所:新宿駅西口ロータリー A17入口付近エレベーター前

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③ 0:56 「侘しさも」

こちらは新宿駅西口ロータリーにある、屋外にあるエレベーターの前の撮影ポイントです。これまた説明が難しいのですが、まず新宿駅西口A16出入り口を出るとわかりやすいかと思います。または、小田急百貨店(ハルク)の方向に進むと、高架になっている通路があります。この通路に沿って進むと、地上と高架通路をつなぐエレベーターがあります。

④ 1:12「あなたの言葉を思い出すから」

4つめの撮影地点は1:12「あなたの言葉を思い出すから」の部分。地図でいうと「④新宿駅東口 モア四番街」。

撮影場所:新宿駅東口 モア四番街

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④1:12 「あなたの言葉を思い出すから」

こちらはとてもわかりやすい地点でした。なにしろ背後の看板に「モア四番街」と書かれているので、それを地図上で探すだけです(手抜き)。ただし、動画と完全に同じカットを撮影することは難しかったです4。画像を見てもらえれば分かる通り、背後の広告の距離がかなり離れてしまっています。カメラ関連には詳しくないのですが、おそらくわれわれ素人の撮影機材(スマホ)では望遠が難しいのかと思われます。

⑤1:39 間奏部その1

5つめの撮影地点は1:39(間奏部)。地図でいうと「⑤新宿駅西口 青梅街道 新宿警察署付近」。

撮影場所:新宿駅東口 青梅街道 新宿警察署付近

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⑤1:39 間奏部その1

続いて最初の間奏に入ります。こちらはまず場所を特定するのが非常に大変でした。花譜ちゃんが立っている場所を見るとピンク色にライトアップされた立方体オブジェが画面の大半を占めています。しかし当然これがどこにあるのかを調べるのは至難の業です。

そこで、背後にかすかに見える看板に注目しました。文字は小さいですが、「HALC」と書かれているのが読み取れます。ということは、新宿西口ハルクが見える場所のはず。そう考えて青梅街道を西新宿駅方面に歩いていくと、果たしてこの特徴的な立方体のオブジェが多数並んでいる場所があらわれました。

⑥1:45 間奏部その2

6つめの撮影地点は1:45(間奏部)。地図でいうと「⑥新宿4丁目交差点付近」。

撮影場所:新宿駅南口 新宿4丁目交差点付近

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⑥1:45 間奏部その2

最初の間奏部の2つ目の地点。こちらは特定するのはとても簡単。右上にデカデカと「ムラサキスポーツ」の看板が見えていますね。新宿駅周辺でムラサキスポーツの看板があるのは西口のみ5

写真では筆者が花譜ちゃんと同じポーズをとっていますが6場所としては新宿4丁目交差点のすぐ近くになっています。

⑦2:00 「反抗期だと疎まれた子供達は復讐に走り」

7つめの撮影地点は、2:00「反抗期だと疎まれた子供達は復讐に走り」の部分。地図でいうと「⑦新宿駅南口 ルミネ新宿付近」。

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⑦2:00 「反抗期だと疎まれた子供達は復讐に走り」

この場所は背後に大きな建物がある他、目印となるものはないのですが、幸いなことに筆者がよく利用していた新宿駅南口のすぐ近くであり、建物自体に見覚えがあったため、特定は容易でした。

⑧2:16 「好きな歌も忘れ去った」

8つめの撮影地点は、2:16「好きな歌も忘れ去った」の部分。地図でいうと「⑧新宿駅南口 新宿4丁目交差点 横断歩道中洲」。

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⑧2:16「好きな歌も忘れ去った」

⑥の地点の交差点のすぐ近く、横断歩道の中洲に当たる場所でした。これは……近くまで行ったらたまたま発見した、というのが正直なところですが、後で見ると花譜ちゃんの後ろに⑥であげた「ムラサキスポーツ」の看板がかすかに見えるので、手がかりがまったくないという場所ではなかったと思います。

前編あとがき

この記事ですべての地点を紹介しようと思ったのですが、思いのほか長くなってしまったので、ここで一旦記事を切りたいと思います。
地図上の⑨-⑯の地点については次の記事で紹介します。

次回、本巡礼での特定最難関地点「ただのコインロッカー」が登場します。なんの変哲もないコインロッカーをどのようにして突き止めたのか……乞うご期待。

更新履歴


  1. 諸説ある

  2. 花譜ちゃんのファンのことをこう呼ぶ

  3. 本稿執筆中にも新曲『危ノーマル』が公開され、盛り上がっていますね

  4. 影技術がないだけ説はある

  5. たぶん。間違ってたら教えて下さい

  6. どう考えても需要がなさすぎる。二度とやるな

「9-nine-」全作レビュー

「9-nine-シリーズ 全作レビュー」 

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(出典:パレット公式サイト palette.clearrave.co.jp/9songs/)

 

作品説明

 「9-nine-」は初心者に(基本)非常に優しい「ぱれっと」より発売されたシリーズ作品である。このゲームは、いうところの「分割商法」と呼ばれるような、単一のソフトに全ルートが収録されているわけではなく、いくつかの分割された(全4作)ソフトを揃えて、初めて全ルートを遊べるようになっている。このシリーズの場合は前作の内容を踏まえた上での体でストーリーが進行するため事実上の攻略ルートの固定がある。

 基本的に「分割商法」は一般的に嫌われるやり方だが、筆者としてはこの場合は認めて良いと思う。詳細は後程。

 

共通のあらすじ

 主人公 新海(にいみ) 翔(かける)は、妹である新海 天(そら)と共に、とあるアニメ作品のフェスに参加する。そんな中、フェスの開催場所である神社にて地震が発生する。そしてそれにより、神社にて祀られていた“神器”が破損してしまう。昔からの知り合いの実家の神社であるため、その事情を主人公たちは知るが、当然気にするほどのことではなく帰路につく。

 その後主人公は、フェスにてスタッフの一人としてコスプレ衣装を身にまとっていた、フェスの主催者であるコロナグループの令嬢で、かつクラスメイトである九條 都よりフェス会場にてアクセサリーのようなものを拾ったと相談される。が、互いにそれは知らぬと解決案は浮かばず、その場は流れる。

 しかし、そのアクセサリーは奇妙にも都の傍にどうあっても存在し、かつ魔法のような能力を都に与えるという奇妙な性質を有していた……。

 そんな中、主人公はとある出会いを果たす。神社へと足を運んだ主人公。そこにはどうゆうわけか謎のぬいぐるみが落ちていた。当然ながら放置する。しかしその後、事態は動きだす。主人公宅においてそのぬいぐるみが出現し、突然言葉を話し始めたのだ。

 ぬいぐるみ曰く、自分の名は「ソフィーティア(以下ソフィ)」、異世界人であり訳あってぬいぐるみのような幻体を通して主人公に接触した。ソフィが語るに破損した“神器”は二つの世界(主人公の世界とソフィの世界)を結び、同時に扉として閉ざしていた、ソフィの世界で製造されたアーティファクトの一つ“世界の眼”であった。これが先の地震で破損したためかつて閉じたはずの扉が開き、ソフィの世界から主人公の世界へとアーティファクトが流出してしまった。自分はそれを管理する組織に所属する故に回収したいのだが、自身は世界を渡れないために幻体でのやりとりが限界である。そのため無自覚だが都と同じくアーティファクトを有していた主人公へと協力を持ち掛ける。

 かくして、主人公はアーティファクトを巡る騒動へと身を投じていくこととなる。

 

各作品のレビュー

『9-nine-ここのつここのかここのいろ』

 エピソード1にあたる章、ヒロインは上述した九條 都

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(出典:9-nine-ここのつここのかここのいろ)

 エピソード1であることから察するかもしれないが、この章は導入である。アーティファクトとは何か、主人公の世界にどんな影響があるのかを説明する側面が強く、まだまだわからないことも多い。この章のヒロイン 都は、令嬢でありながらも良識と「力を持ってしまった以上は持たざる人々のために努力する」ことを信条とした、責任感のある女の子である。ある意味ではその責任感を主人公がどのようにして正しく導いていくのかが、ここでは肝となる。

 この章を評価する際、やはりこれが序章であることを認識しておかなければならない。先述した通り、この章ではわからない要素が多すぎる。事実上の未解決のままエンドを迎えてしまう。消化不良感は否めない。

 だがしかし、「9-nine-」全体で示されるテーマとして「日常を送る人々が非日常に巻き込まれていくことが何を意味するのか」、より深く言うならば「力を得て踏み込んでいけるようになったということは、反面それだけ危険なものに身を晒すことになる」ということを、責任感の塊である 都を通して語っている。要するに作品全体の命題の一つをプレイヤーに刻みつける章であるのだ。故に作品を語る上では決して外せないエピソードである。加えてここでのエンドは別の章にて取り扱われている。

【ヒロインについて】

 ストーリーそのものの評価はここまでにしてヒロインについて話そう。ヒロインである都は可愛い。そう、とにかく可愛い天然さんなのだ。

 また、彼女は責任感が強く、絵に描いたような優等生である一方で、普段はポヤポヤしており噓がヘタ。故に挙動一つ一つが愛嬌満載なのである。主人公の好意を知ったときの慌てぶりは澤田なつさんの演技も合わさり強力の一言であり、怒ったときでさえ愛らしい。

 同時に都は良くも悪くもハッキリした性分の良い娘であるため、主人公に対して思ったことは正直に申す(一部を除く)。主人公を第三者に貶されたときの姿勢も極めてまっすぐである。まさに正統派ヒロイン。嫉妬したときなど、眼福である。謝ってばかりと都に指摘しているが、確実に主人公は尻に敷かれる。正妻キャラが板についたまである、個人的にはトップクラスに好きなキャラである。

 

『9-nine-そらいろそらうたそらのおと』

 エピソード2にあたる章。ヒロインは主人公の実妹(←重要)新海 天である。

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(出典:そらいろそらうたそらのおと)

 二つ目の物語であるこの章では、アーティファクトを使用することそのものの危険性の表層化に加え、前エピソードでは暗躍にとどまっていた敵が本格的に姿を現す。

 経緯は前エピソードと同じであるが、ここでは天にスポットがあたる。相違が生まれる理由については、天の能力を利用しての積極的な敵の捜索が原因となる。敵に自分たちの存在が早期に知られ、対面してしまうためだ。なんとか一度目の会敵は主人公たちがまだ具体的な動き、思惑を見せていなかったために見逃される。しかし、それで諦める訳には当然いかず、主人公たちは敵との戦いへと備えていく。

 このタイミングで悪い意味で転機が訪れる。敵一派のリーダーと思われる人物については物分かりが良く、積極的には主人公たちを害しようとはしなかったのだが、ゴーストと呼ばれる人物が半ば独断で主人公を始末しようするのだ。しかし、主人公を追ってきた天により一時的にゴーストを行動不能にすることができた。

 だが天の能力である「存在感を薄くする」力が限界を超えた使用により暴走し、力を行使する限り使用者である天の存在が物・人を問わず、あらゆるものから徐々に忘却されていくようになる。解除すれば天は助かるが、ゴーストがいる以上は解除する危険があまりにも高い。

 よって主人公は天の心が折れぬよう支えながらソフィの協力の元、事態の打開を目指し、同時に戦いへと身を投じていくこととなる。

 日常パートでは全章でも評判だった天との軽快でコミカルな会話が、より増加しプレイヤーたちの笑を大いに誘う。ギャグパートにおいて天の存在は「9-nine-」において極めて重要な存在である。正直、無茶苦茶面白い。

 反面、天を支えていく面では、天がかねてより抱いていた想いがさらけ出されていく。そして前章からの天の行動の理由が明かされていく。まさか、オレオレ詐欺の件が伏線だったとは誰も思うまい……。

 そして、そういったシリアスパートの中でもギャグを容易できる力量も評価に値する。全編を通して天が良い味を出しまくっている。

 この章で語るべきもう一つの魅力がある。主人公 翔が格好良すぎたことである。主人公は基本戦闘面では盾になるしかない、と自嘲するように能力の自覚がない。事実、戦闘では不利な立ち位置である。しかし妹を救うがため、ソフィの協力でそれを無理矢理に克服し、事実上気合一本で立ち向かう。ゴーストの問答を含め、漢すぎる。これは実妹でも惚れてしかたない。

 漢気溢れるのはこれだけではない。それは天とのふれあいにある。この天ルートでは他のルートとは異なる要素がある。これは実際にプレイしなくては決して分からない。プレイ動画を見てさえも……。

 天を救うためには主人公が漢を通す必要がある。その一連のやりとりには息を飲む他ない。そしてその選択をすることのヒントは最初に示されていた。自己完結する伏線としては最も凄みのある章である。正解ルートを選んでも、一度はバッドの選択に目を通しておかなければならない。

 言葉以上に孤独になっていく天、そんな彼女を必死に繋ぎ留めようとする翔。妹を救うためには……。「水葬銀貨のイストリア」の“あの”選択並みの重さが今、ここに。

 だが、それまでを見てきたのならきっと……。

【ヒロインについて】

 ヒロインの魅力を紐解こう。天はとにかく日常パートを色づけてくれる存在だ。主人公との高度な連携?をもって楽しませてくれる。「殴るぞ」の件など、至高である。これは全ルートでもいえることで先に述べた通り、天の占める「9-nine-」での存在は大きい。

 また、物語は進むことで明かされる“素”の天が胸を激しく締め付けてくる。なぜ主人公は一人暮らしさせられる羽目になったのか。原因である天はなぜそんな主人公をしつこく訪ね、泊まろうとするのか。その裏に秘められた天の強い想いが涙を誘う。だからこそ主人公はあの選択をしなければならない。本当は寂しがりやなあの娘のために。

 裏表のない都に続く、陰陽の面で我々の心を動かす天であった。

 

『9-nine-はるいろはるこいはるのかぜ』

 第三章。ヒロインは元のルートでは敵一派の一人。その中でも主人公たちに好意的に接してくれた、主人公の先輩 香坂 春風(はるか)

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(出典:はるいろはるこいはるのかぜ)

 この章では、主人公が敵の内情を知るために主人公たちに協力的な春風を頼り、潜入を行う。そしてその結果、主人公たちが対峙すべき“本当”の敵が露になるとともに、ソフィの事情がより詳しく明らかにされる。先述の2ルートと異なり、このルートは特にストーリーを明かすことがネタバレにつながるために情報を露出はなるべく控えるようにしたい。

 主人公が敵側に潜入する都合上、都と天は主人公と表立って接触できなくなる一方でヒロインの春風との触れ合いが増える(他のヒロインたちは春風中心とした会話が加わるため出番が無くなる訳ではない)。主人公はそんな状況下で前ルートでは“敵”としてきた者たちと関わっていく。ギャグ担当は敵側にもいるので問題はない。

 そんなこんなで、前ルートでは脅威に写った面々の素の姿を知る一方で、彼等とはまた別の人物たちの真実も知ることとなる。

 このルートでは、プレイヤーの前ルートを通して溜まった疑心が重要になってくる。「本当の敵は誰なのか」、「誰を(より細かく言えば“どちらを”)信じれば良いのか」。プレイヤーの心を揺さぶりつつ、一気に「9-nine-」の核心へと迫る。

 そしてその先に、主人公のアーティファクトの力が明らかになり、同時にタイトル回収が行われる。

【ヒロインについて】

 春風は都とは別ベクトルで可愛い女の子である。これはネタバレにはならないため明かすが、彼女はアーティファクトの手にして以来二重人格である。元の人格は引っ込み思案で登場人物で最高のコミュ障。二つ目の人格は高飛車の女王様な性格になっている。この“素”の彼女が自分自身を通していけるようになるまでがこの章の本筋となる。

 本来の春風は重度の(二次元)オタクで、ある理由によりコミュ障(さらには自分の射程圏内では話が止まらない、つまりはほとんど俺ら)。主人公には些細な一件により惚れこむ。劇中では自分のドジさと不甲斐なさに苦汁を舐めながらも、自分の想いを伝えていこうと努力する、彼女の健気な様に胸をうたれること必死。さらには二重人格によりS and Mにて対応可である。そして敵側のギャグ担当はアイツである。乳房の元に! 我々は一つになるのだ!

 

 

『9-nine-ゆきいろゆきはなゆきのあと』

 「9-nine-」最後のルートである。ここでのヒロインは基本主人公の仲間の一人であったものも唯一内情の分からなかった結城 希(の)亜(あ)である。

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(出典:ゆきいろゆきはなゆきのあと)

 主人公は希亜こそが敵に打ち勝つ鍵であると考え、彼女との仲を深めていく。そして希亜の心根を知ることで「人の命を奪うこと、奪われることの重さ」について語り合うのだった。また、同時にソフィは翔とは別に宿敵を倒すための方法を模索していく……。

 このルートでは「お前……本当にパレットか?」という程の鬱な展開が到来すると共に、主人公 翔の最大にして最後の死闘が始まる。伏線回収については最終ルート故に最高レベルである。いたる所で最終決戦での勝利に“繋がる”セリフが綴られている。そしてついに翔の能力の真価が今、発揮される。

 さらにこのルートにて、前作ではウザイとすら思えたプレイヤー側の操作の意味を思い知らされることとなる。「DEAR MY WAKER」が流れたとき、その興奮はとどまるところを失うに違いない。

 【ヒロインについて】

 結城 希亜の魅力の最たるものは「ギャップ」である。このルートに至るまで「クール」であった彼女が、別人にも思えるほどの肩の力を抜いた姿をさらけ出す。コスプレイベントや添い寝イベントでの彼女の萌えにより我々は燃え尽きる。声優さん本当にGJである。おみそれしました。好感度がソラを翔上がる。

 そしてそれ故に鬱パートの悲しみは途轍もない程に強大である。必ず乗り越えて欲しい。

 なぜならその先に彼女との約束があるのだから……。

 

 

作品全体の評価

 日常・ギャグパート

 「異世界との交信なのだから、言語・言葉の有無に違いは必ず存在し、翻訳の仕方、され方に留意することで情報を引き出すことや精査することが可能」など、登場人物の行動が非常に上手く作り込まれている。

 ギャグパートは前述のとおり、大満足である。天のおかげである。また、この手のゲームで同じみの他作品ネタも充実している。ライトなものからディープなものまで。ヤツが参加していることを抜いても多彩である。伏線の絶妙さもあり、全て見てしまったことが寂しくもあるが、何度でも見返そう。

 作品の命題も深く、色んな意味で身近である内容であった。ある種、「Dies irae」とは違う中二病患者の姿をも目にすることができる。

 

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(出典:右から、ここのつここのかここのいろ、はるいろはるこいはるのかぜ、 ゆきいろゆきはなゆきのあと)
 戦闘パート

 異能モノであるが、あくまで主人公たちが一般人であることは最後まで崩れず、能力の性質も一貫しており応用力が求められている。主人公たちの勝因はそこにあるだろう。能力を仲間と共に思案し引き出しつつ、組み合わせる……そんなところに。まさに絆による勝利である。どうすれば勝てるのか、相手にはどう読まれるのか、どう日々を過ごすことが勝利へと繋がるのか。非常に練られたシナリオである。意地による戦い方もまた見物であった。どのルートでも燃える。

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(出典:左 そらいろそらうたそらのおと、右 ゆきいろゆきはなゆきのあと)

 

 作画 

 非常に美麗で満足である。情事も含め、キャラをよく魅せてくれた。OP・ED映像の出来もセンス溢れるもので、特に「DEAR MY WAKER」の表記がでる瞬間が個人的には最も好きであった。引き続き注目していきたい。お疲れ様でした。

 

 音楽 

 BGMについては、少なめである(気がする)。が、不満なものではない。使い回した感がないとは言えないが……。「squall」と「DEAR MY WAKER」については反則級。

 最初はvol:米倉千尋(代表曲:嵐の中で輝いて)で「アンタ何やってんだ!」とも思ったが、結局のところ、曲は「素晴らしい」の一言に尽きた。色々言われる堀江晶太とも組んで、もう手がつけられない。次回も是非ともよろしくお願いします。

 

全ルートを通しての総括

 「日常を生きる人間が非日常に巻き込まれる」ことをしっかり描写し、テーマとした作品であった。登場人物たちが力を得たことをどう思い、どうしていくのか。そこから始まる物語と過去がどう結びついていくのか。見事であった。イキりで胃もたれしていたのでなおさらそう思ってしまう。

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(出典:ゆきいろゆきはなゆきのあと)

 まあ、それを差し引いてもお釣りがでるほどであり、まだまだ美少女ゲーも捨てたものじゃないと思えた出来である。

 それを踏まえ、この「9-nine-」をどう表現すれば良いかと問われれば、「痒い所に手が届いている」と答えたい。というのも物語の推移がプレイヤーによく沿うようにできているからだ。プレイヤーが考え得るアイデア、伏線を主人公とソフィがしっかりと押さえている。だからこそ、「やはりそうか」と思うとともに、「プレイヤーの考えはお見通しか」と感心させられる。スレスレで高跳びを跳ぶような感覚である。

 加えて「9-nine」では都ルートのような未解決エンドに対する解決方法がキッチリ提示されている。プレイヤーの悩む点を的確についている。どれもプレイヤーに“同調”していないと出来ない所業……否、偉業である(あることが懸念であるが)。

 また、「9-nine-」にはプレイヤーがのめり込むための仕掛けがある。それが理由で分割することを肯定できた。なぜ天ルートだけが特別なのか。なぜ強制バッドがあるのか。作品全体がプレイヤーを物語へと組み込む装置なのだ(選択肢を選ぶ自由度は低い)。天ルート、そして最終決戦での選択肢には血潮が究極に燃えた。4作全てをやったことの充実感は待った時間を優に超えてしまう。本当に良い作品に出会うことができた。相変わらず初心者にもオススメであり、パレットもよく頑張ってくれたと感じる。

――本当にありがとう。

 

登場人物について(ネタバレありで個人的感情多々含む)

新海 翔【CV寺竹順 カミジョーさん何やってんd

 まさに漢だった人。頑張りすぎ。とにかくカッコイイです。プレイヤーにも共感のできる感性と、貫き通す意志の強さが共存した強い人。頭の回転も速い。最終決戦後には涙もあるが、必ず幸せになって欲しい。そんな姿をFDで待ってます。

 

九條 都【CV 福圓美 澤田なつ

 筆者の好きなメインヒロイン TOP2の内の一人。能力がけっこう反則。誠実な人柄、そして天然。ときとしてユーモアも利かせてくれる。ドストライクだ。澤田なつ万歳!(深紅&明日香も!)劇中では自分の力に戸惑う姿を見せながらもなお進むもうとする意志、内省的で苦しみやすい主人公をいざというときには強く肯定してあげられる器の広さを持つ。

 追加天然日常エピソードで彼を尻に敷く(精神的)お姿、お待ちしております。

 

新海 天【CV 沢澤砂羽】

 主人公の実妹(義妹ではない!)の「9-nine-」ギャグ担当その1。天真爛漫だが、実は内弁慶のブラコンガチ勢。兄のことは良くも悪くも誰よりも知っている妹。ギャグでは散々笑わせてもらった。クリアしてしまったことがとても寂しい。逆に兄妹愛には目頭が熱くなってしまった。おろした髪&パジャマにはもう耐えられない。

 新しいギャグパート楽しみにしています。

 

香坂 春風【CV 渚しろな】

 おどおどした仕草がとても可愛い、色んな意味で一番の駄目っ子。料理もか……でも、それが良い。本人はM寄りだが、お嬢様モードは両方兼ねる感じだからカバー範囲が広い(本人の趣味もとても広い)。2作目で株が上がります。自身のルート後では他のオタク重症患者二人とユニットを組んで日常を彩ってくれます。

 FD等にて、自作の美味しいカレーとお弁当を目にできる日を待っています。

 

結城 希亜【CV 夏和小】

 プレイしたことで筆者内メインヒロインTOP2の片翼に躍り出た娘。重度の中二病(自覚症状あり)。あのギャップは反則である。パパ・ママ呼びがバレ照れる、初めてのコスプレで大はしゃぎし、添い寝での懇願する仕草は格別。なお心霊系体験の後(あるいは関係なく)は暗いところが無理な模様。話かけられて「運命だ」とときめいてしまうなんてチートである。とにかく萌え過ぎて死にそう。故にシリアスパートでボロ泣きしてしまった(squallによるダメージ倍加)。恥ずかしい。

 筆者は弱さ見せたくない現実逃避創作系人間のため勝手な共感だらけ(自分が嫌いになる魔のスパイラル)。萌えのあまり、今も死に体である。

 FD絶対きてください、五体投地で祈ります。

 

ソフィーティア(ソフィ)【CV 荒井さん。 とあるの友情か?

 ある意味プレイヤーのメインヒロイン。物語の説明&進行担当。疑念を一瞬でも持ったことは謝ります、ごめんなさい。今回いなかったツンデレ枠? なんだかんだ言ってあれこれと全力を尽くしてくれる姿はまさに聖女(本人には悪いが)。FDで期待してます(アレ使えばCV問題も回避できるさ、きっと!3Pだがな!)。

 

成瀬 沙月 【CV:ひな葉月】

 主人公のお姉さん的な人で、担任教師でもある。基本的に色々巻き込まれた人。舞台装置にされてしまった。なんだかんだ面倒見が良い。適当な性格だが非常に可愛らしい言動をとる。病院が嫌いらしい。

 畜生攻略できねぇ! 幼馴染らしいのに!! FDだ、それしかない。3・2Pになるだろうけど。 

 FD来てくれー! 頼む―!アンニュイな君も好きだ!

 

深沢 与一 【CV:紅茶葉 キオ・アスノご乱心、寺(神社)以来の狂気】

 主人公の親友ポジ。てっきり最終ルートでは救われると思ってた人。むしろ小物に。シリアルキラーっぽいが、単なるかまってちゃん説が濃厚なので、FDではきっと救われるハズだ。救われたところでなんだ感はあるが……。

 このままで終わったらダメだろ。「結局あいつのパシリで終わった」、「分身の方がボスだったとか」言われるぞ!

 

ゴースト(■ ■)【CV:小鳥居夕花】

 強力なボスキャラを務め、ときには主人公の相棒になるなど多彩な役回り。味方としての登場時から凄く頼もしかった。日常面ではまさに姐御(声優が良いですから)である。名前ネタは後日談に引っ張ると思ったから意外だった(そういえばインストールしてたわ)。

 FDではレヴナント・アーマー(ver.翔)の戦闘AIとして頑張ってくれそうだ。春風との連携もあるのかな……(遠い目)。

 

高峰 蓮夜【CV:ほうでん亭センマイ 安定の杉t代表取締役

 ギャグ担当その2。天然な中二病(自覚してる?)。天のいない間を埋めたキャラの濃さ。まさかの少佐と72千早ちゃんネタを引っ張ってくるとは……相変わらずの綱渡り。ファミレスに焦がれ、ポテフライに酔う様には春風先輩と全国のボッチたちが首を縦に振り続けた。まさに作品の命題に沿ったお人。自分の力不足を補うために格闘技術を磨いたり、どんな時(強調)でも腐れ縁を守り、また思慮深いところ……漢パート2である。FDでは与一を翔と共に殴り飛ばすキャラに果たしてなれるのか、否か。救われて欲しい勢の一人。だけどKY。

 

イーリス【CV:一応無表記】

 ただの下衆。どうしてこうなった……。性分的に浅慮。ある意味、“アイツ”のいなかった世界だったからこうなったのかもしれない……。やっぱりメインヒロイン ソフィ説……! 

 まだ生きてそうで恐い、大人しく滅却されて!

 

「見つけた」の人【CV:説明不要】

 途中から分離独立した人。ソフィの旦那説浮上。薄い本が熱くなる。翔のもう一人の相棒(他作品でいうヘリオスとかそっちの方の)。次回作ではイーリスを口説きにいきましょう。地獄にカチコミじゃあ!(地獄でのヴァルゼライド閣下ばりのご活躍、期待しております)

 

 【リンク】

『ここのつここのかここのいろ』公式サイト            

http://palette.clearrave.co.jp/product/kokoiro/

『そらいろそらうたそらのおと』公式サイト

http://palette.clearrave.co.jp/product/sorairo/

『はるいろはるこいはるのかぜ』

http://palette.clearrave.co.jp/product/haruiro/

『ゆきいろゆきはなゆきのあと』

http://palette.clearrave.co.jp/product/yukiiro/